タイトル 幸徳・大石ら冤罪に死す
サブタイトル 文学・政治の〈呪縛〉を剥ぐ
刊行日 2019年4月30日
著者 木村勲
定価 ¥3000円+税
ISBN 9784-8460-1787-3
Cコード 0095
ページ数 320
判型 四六
製本 上製
内容
「大逆事件」でいいのか 

明治44(1911)年に幸徳秋水・大石誠之助らは「大逆事件」の名の下に死刑を執行される。著者は、佐藤春夫・与謝野鉄幹・山県有朋らを軸にして、「事件」の再構成を試みる!

「大逆」が官製造語であるという指摘の最初は、宮武外骨が昭和二一年に刊行した『幸徳一派 大逆事件顛末』の自序中であったと思われる。「大逆事件といふ恐ろしいやうな言葉、これは支配階級者及び其支持者、迎合者の側で云つた名目……」と。緒言中で「当初の新聞紙上には「大陰謀事件」とあり、それが間もなく官撰の大逆事件という語に変じた」と。この指摘は事件の本質を突く最重要な提起であったとわたしは思っている。(本書「第二章第一節」より)
著者紹介
近代文芸研究者。1943年、静岡県沼津市生出身。一橋大学社会学部卒、同大学院社会学研究科修士課程修了。朝日新聞学芸部記者を経て神戸松蔭女子学院大学教授を務めた。著書に『鉄幹と文壇照魔鏡事件――山川登美子及び「明星」異史』(国書刊行会)、『「坂の上の雲」の幻影――“天才”秋山は存在しなかった』(論創社)、『日本海海戦とメディア――秋山真之神話批判』(講談社選書メチエ)、『風景ゆめうつつ――人々の都市物語』(文芸社)。共著に『100人の20世紀』(朝日文庫)、編著に『中世の光景』(朝日選書)、『古代史を語る』(同=新聞連載時の原題は「古代漂流」)など。
目次
まえがき

第一章 『田園の憂鬱』への道程
 第一節 「誠之助の死」と「愚者の死」
 第二節 コスモポリタン、誠之助
 第三節 影を落とす皇帝処刑とR・N
 第四節 白菊女史と麹町……X伯爵邸
 第五節 「反戦詩人」になった晶子
 第六節 薔薇の詩人と春夫の反戦小説
 第七節 誠之助妻子と沖野岩三郎
第二章 創造された「大逆事件」
 第一節 その造語は判決文で登場 
 第二節 誘導尋問「決死の士で二重橋に……」
 第三節 幸徳「陳弁書」と弁護士・平出修
 第四節 公判記録「行方不明」、啄木の憤り
 第五節 検事・平沼、「実態なし」を公言
 第六節 「大逆」は天皇陵墓を壊すこと
 第七節 見え隠れする山県有朋の影
第三章 異国で「大逆」――閔妃暗殺事件
 第一節 景福宮が「二重橋に……」へ
 第二節 画策し「爆裂弾」の小説も
 第三節 山県の朝鮮「利益線」論
 第四節 軍暴走の先例と大陸浪人
第四章 山県における権力の用法
 第一節 反乱・奇兵隊を殲滅せよ
 第二節 徴兵の反乱と教育勅語
 第三節 「客分」庶民を勇猛戦士へ
第五章 秀吉に擬した築邸三昧 
 第一節 官有地、広壮・瀟洒な邸宅に 
 第二節 新椿山荘は軍の土地“融通”
 第三節 もとは幕府・大名の所有地
 第四節 武士願望と西洋仰望の屈折
第六章 大正という世相の下で…
 第一節 荷風「江戸戯作者」宣言
 第二節 鉄幹、ひとりの大衆として
 第三節 鴎外の微妙な立ち位置
 第四節 調書を鴎外・鉄幹は見たか
 第五節 山県が怖れたヒューマニスト
 第六節 崎久保に同一化した春夫
終章 明治一五〇年から顧みる同一〇〇年
 第一節 桑原武夫の明暗の明治論
 第二節 宿命的な不安と恐怖……

あとがき――「大逆事件」でいいのか

参考文献
人名索引
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