タイトル 貸本マンガと戦後の風景
刊行日 2016年11月17日
著者 高野慎三
定価 2,500+税
ISBN 978-4-8460-1577-0
Cコード 0095
ページ数 296
判型 四六
製本 上製
内容
戦後漫画史の生き字引のごとき著者の渾身の一冊。水木しげるの「少年戦記の会」関与の問題、つげ義春の知られざる「忍者秘帳」への言及など、実に刺激的なテーマが繰り広げられている。ぜひ一読をすすめたい。
東京経済大学教授 桜井哲夫 推薦

著者が本書の中で、貸本( 屋)→貸本マンガ→劇画と自在にテーマやエピソードを展開させていくとき、それらのヒンターランドには、通底する戦後という生活現実が濃厚に語られていることに気づく。要するに先行世代の責任として著者が伝えたかったものはただ一つ、貸本をめぐるすべてのテーマに共通して、敗戦後というこの国の現実を抜きにしては、それらの本質など見えはしない、ということなのだろう。(梶井純 解説より)
著者紹介
高野慎三(たかの・しんぞう)
1940年、東京都生まれ。ペンネームは権藤晋(ごんどうすすむ)。書評紙編集者、青林堂の『ガロ』編集者を経て、北冬書房代表。マンガのほか、映画、旧街道、宿場探索。おもな著作に『「ねじ式」夜話』(喇嘛舎)、『ガロを築いた人々』(ほるぷ出版)、『つげ義春幻想紀行』(立風書房)、『旧街道』(北冬書房)、『郷愁』(北冬書房)、共著に『現代漫画論集』(青林堂)、『劇画の思想』(太平出版社)、『つげ義春漫画術』(ワイズ出版)、『加藤泰の映画世界』(北冬書房)、『貸本マンガRETURNS』(ポプラ社)などがある。貸本マンガ史研究会会員。
目次
1章 貸本マンガの誕生まで
夜店の赤本と『三振王』
 「おもちゃマンガ」と手塚の赤本単行本
 街頭紙芝居と太平洋文庫
 紙芝居、赤本から貸本マンガへ

2章 貸本マンガの隆盛
 花売り娘と貸本少女マンガ
 五〇年代の復讐譚ーー『坊太郎天狗』
 滝田ゆうの社会派少女マンガ
 白土三平『こがらし剣士』と戦後状況1
 白土三平『こがらし剣士』と戦後状況2
 貸本屋探索行と『バレエ』
 戦記マンガの読者とは
 『影』『街』の創刊
 『少年山河』に描かれた〝怒れる若者たち〟
 五〇年代のユーモアの諸相

3章 貸本マンガ・一九六〇
 三茶書房と『忍者武芸帳』との出会い
 貸本SFと戦記マンガの同時代性
 荏原地区の零細工場群と東京作画会
 つげ忠男の幻のデビュー作
 つげ義春『忍者秘帳』と安保論争の頃
 戦災孤児とつげ忠男の少女マンガ
 漁村の貸本屋と『少年近藤勇』
 
4章 貸本マンガ 衰退期の光芒
 中目黒の工場群と『轟先生』
 『刑事』とさいとう・たかを評価をめぐって
 小島剛夕の世界
 『血だるま剣法』の問題性
 面影橋の佐藤プロと水木しげる
 渋谷・大盛堂と『忍法秘話』
 つげ忠男と〝ハイティーンの怒り〟
 つげ忠男の疾風怒濤時代
 二人の貸本作家――池上遼一とつげ義春

5章 貸本マンガと新宿・十二社と
 十二社の料亭街とつげ義春『戦雲のかなた』
 新宿・成子坂下の『ロケットマン』
 石子順造と杉村篤(コン・太郎)
 石子順造の貸本屋巡礼
 石子順造と「貸出票」

6章 貸本マンガと戦後大衆文化
 高橋真琴と少女小説
 任侠映画と佐藤まさあきの劇画
 貸本時代小説と小島剛夕
 映画の隆盛と貸本現代小説
 無名の貸本作家
 旗本退屈男と少年講談の隆盛
 抵抗の系譜が問いかけるもの

7章 貸本マンガの「場所」
 貸出票が物語るもの
 下層の人びとと貸本屋
 奥付とその痕跡を尋ねて
 神田村とつげ義春『奴隷侍』
 『全国貸本新聞』の先駆性
 太平洋文庫にみる戦後現実
 水木しげるの肉声――「読者投稿欄」

解説 梶井 純
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