タイトル 躍動する東南アジア映画
サブタイトル ~多文化・越境・連帯~
刊行日 2019年7月6日
著者 石坂健治・夏目深雪 著/国際交流基金アジアセンター 編集協力
定価 2000円+税
ISBN 978-4-8460-1847-4
Cコード 0074
ページ数 192
判型 A5
製本 並製
内容
 2016年のアピチャッポン・イヤーや、2018年の『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の大ヒット、今年の『家族のレシピ』『マルリナの明日』の劇場公開など、近年東南アジア映画への注目が集まっている。

 この夏、国際交流基金アジアセンターが主催する、日本と東南アジアの文化交流の祭典「響き合うアジア2019」が開催される。その一環として、国際交流基金アジアセンターと公益財団法人ユニジャパン(東京国際映画祭)は、2019年7月に東南アジア映画の特集上映「東南アジア映画の巨匠たち」を開催し、アピチャッポン、ガリン・ヌグロホ、メンドーサ、エリック・クー、リティ・パンの巨匠作品などをピックアップして上映する。

 本特集上映の公式カタログも兼ねる本書は、5人の作品をはじめとする上映作品の巻頭特集を行うほか、フィリピン、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシアなど独自の文化を保ちデジタル時代の新世代が育っている各国映画について、歴史を紐解き、監督たちのインタビューや対談を交えながら、躍動する東南アジア映画を多角的に紹介するガイドブックである。

 また、この特集上映と同時期に「響き合うアジア2019」の企画として、国際交流基金アジアセンターによりアピチャッポン初の舞台作品『フィーバー・ルーム』、ガリン・ヌグロホの新境地「『サタンジャワ』サイレント映画+立体音響コンサート」も上映・上演されるため、本書では巻頭で狭義の映画を超えたこの2作品も特集している。

 本書は映画を通して各国の地域事情に対する新たな視座をもたらすとともに、世界に衝撃を与え続ける東南アジア映画を知るための必読書となるだろう。
著者紹介
石坂健治 
東京国際映画祭アジア部門プログラミング・ディレクター、日本映画大学教授・映画学部長。1960年東京都生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了(映画学)。

1990~2007年、国際交流基金専門員としてアジア中東映画祭シリーズを担当。東南アジアに関しタイ、フィリピン、インドネシア、マレーシアなど国別の映画祭、リノ・ブロッカ、ガリン・ヌグロホ、アピチャッポン・ウィーラセタクンなどの特集上映を企画運営。2007年、第20回東京国際映画祭より現職。オ

ムニバス映画『サザン・ウィンズ』(1992)、「アジア三面鏡」シリーズ(2016、2018)企画製作に参加。共著『日本映画史叢書9:映画のなかの天皇―禁断の肖像』(森話社、2007)、『ドキュメンタリーの海へ―記録映画作家・土本典昭との対話』(現代書館、2008)、『アジア映画の森 新世紀の映画地図』(作品社、2012)、『アジア映画で<世界>を見る 越境する映画、グローバルな文化』(作品社、2013)など。


夏目深雪
批評家、編集者。映画を中心にダンスや演劇についても執筆。

『ユリイカ』や映画パンフレットなどに寄稿。アプリ版ぴあで「水先案内人」連載中。東京国際映画祭の予備審査員を2008年から担当し、アジア映画の未公開作品を多く鑑賞。大学でもアジア映画を教える。フェスティバル/トーキョー2011主催劇評コンペ優秀賞受賞。

企画・編集・執筆した共編著『アジア映画の森 新世紀の映画地図』(作品社、2012)、『アジア映画で<世界>を見る 越境する映画、グローバルな文化』(作品社、2013)、『国境を超える現代ヨーロッパ映画250 移民・辺境・マイノリティ』(河出書房新社、2015)、『インド映画完全ガイド マサラムービーから新感覚インド映画へ』(世界文化社、2015)、『アピチャッポン・ウィーラセタクン 光と記憶のアーティスト』(フィルムアート社、2016)、『映画秘宝EX 激闘!アジアン・アクション映画大進撃』(洋泉社、2017)。


国際交流基金アジアセンター
独立行政法人国際交流基金は、全世界を対象に総合的に国際文化交流事業を実施する日本で唯一の専門機関。

アジアセンターは2014年4月に設置され、さまざまな分野でASEAN諸国を中心としたアジアとの双方向の交流事業を実施・支援している。

映画分野では、東京国際映画祭での特集上映・国際的な映画製作や、アジアの映画制作者・学生の交流事業などを行っている。
目次
目次/はじめに/■注目の巨匠監督、東南アジアの特選映画/アピチャッポン・ウィーラセタクン『フィーバー・ルーム』/[批評]原初の「シネマ=映画」と出会う上映/上演…佐々木敦/ガリン・ヌグロホ『サタンジャワ』/[批評]『サタンジャワ』とジャワ伝統文化…福岡まどか/●東南アジアの巨匠5人/◆アピチャッポン・ウィーラセタクン/『十年 Ten Years Thailand』/[批評]兵士、SF、宗教――タイの抽象と具象のあいだで…藤本徹/[インタビュー]/[作家論]/◆ガリン・ヌグロホ/『メモリーズ・オブ・マイ・ボディ』/[インタビュー]/[作家論]/◆ブリランテ・メンドーサ/『アルファ、殺しの権利』/[インタビュー]/[作家論]/◆エリック・クー/『ミーポック・マン』/『痛み』/『一緒にいて』/[インタビュー]/[作家論]/◆リティ・パン/『飼育』/[インタビュー]/[作家論]/●東南アジアの次世代巨匠たち/◆カミラ・アンディニ/『見えるもの、見えざるもの』/[作家論]/◆ナワポン・タムロンラタナリット/『ダイ・トゥモロー』/[作家論]/●アジア・オムニバス映画製作シリーズ「アジア三面鏡」/『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』/『アジア三面鏡2018:Journey』/[コラム]アジアにおけるオムニバス映画のブームについて/■フィリピン/フィリピン映画史/[インタビュー]ラヴ・ディアス/[作家論]ラヴ・ディアス/[作家論]キドラット・タヒミック/[作家論]ジュン・ロブレス・ラナ/[作家論]アドルフォ・アリックスJr. /[作家論]ミカイル・レッド/[小論]熱風の滞留 スロー・シネマを通して見るラヴ・ディアスとアピチャッポン…中村紀彦/■ベトナム/[鼎談]ベトナム・アクション映画の魅力/ 宇田川幸洋×浦川留×坂川直也×夏目深雪(司会)/ベトナム映画史/[作家論]ヴィクター・ヴー/[作家論]グエン・クアン・ズン/[作家論]ブイ・タク・チュエン/[作家論]チャーリー・グエン/[作家論]ファン・ダン・ジー/[作家論]ゴ・タイン・バン/[pick up この1本]『ベトナムの怪しい彼女』/[小論]東南アジアのアクション映画――今、立ち上がり、繋がれ!…坂川直也/■タイ/タイ映画史/[作家論]ペンエーグ・ラッタナルアーン/[作家論]アノーチャ・スウィチャーゴーンポン/[pick up この1本]『ホームステイ ボクと僕の100日間』/[小論]東南アジア怪奇映画の新潮流…坂川直也/■シンガポール/シンガポール映画史/[作家論]ブー・ジュンフォン/[作家論]アンソニー・チェン/[pick up この1本]『TOURISM』/■マレーシア/マレーシア映画史/[作家論]エドモンド・ヨウ/[作家論]リム・カーワイ/[作家論]ホー・ユーハン/[コラム]『15Malaysia』とピート・テオ/[作家論]タン・チュイムイ/■インドネシア/インドネシア映画史/[作家論]リリ・リザ/[作家論]エドウィン/[作家論]モーリー・スリヤ/[作家論]テディ・スリアアトマジャ/■カンボジア、ミャンマー、ラオス/カンボジア、ミャンマー、ラオス映画史/[作家論]ソト・クォーリーカー/[作家論]デイヴィ・シュー/[作家論]ミディ・ジー/■国際共同製作&東南アジア映画を知るための資料/◆国際共同製作の現場/[コラム]市山尚三/プロデューサーとして/[コラム]相澤虎之助(空族)/『バンコクナイツ』/[コラム]宮崎大祐/『TOURISM』/◆世界を股にかける撮影監督・編集者・サウンドデザイナー/[撮影]サヨムプー・ムックディプローム/[編集]リー・チャータメーティクン/[サウンドデザイン]森永泰弘/◆日本における東南アジア映画受容史年表/◆映画祭紹介 ここで観られる!東南アジア映画/執筆者紹介/
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