タイトル | リリカル・クライ(Lyrical Cry) |
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サブタイトル | 批評集1983-2020 |
刊行日 | 2020年9月24日 |
著者 | 林浩平 |
定価 | 3800円+税 |
ISBN | 978-4-8460-1894-8 |
Cコード | 0095 |
ページ数 | 520 |
判型 | 四六 |
製本 | 上製 |
内容
現代を生きる詩人の縦横無尽な思索のキ・セ・キ(軌跡、奇蹟)。
詩、文学、美術、舞踊、ロックという70年代から2010年代まで
文化の先端を論じてきた批評の集大成!
詩、文学、美術、舞踊、ロックという70年代から2010年代まで
文化の先端を論じてきた批評の集大成!
著者紹介
1954年和歌山生まれ。詩人、文芸評論家、日本文学研究。現代詩、文学、美術、ダンス、ロックを論じ、ロックに関する著書もある。東京大学法学部卒業、早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得。卒業後7年間NHKでディレクターとして勤務。現在も時折、NHKや放送大学などで企画制作を行う。NHK「ナイトジャーナル」キャスター(1993年4月〜1994年3月)。恵泉女学園大学にて10年間特任「教授をつとめ、現在、早稲田大学法学部、武蔵野美術大学、跡見学園女子大学、名古屋芸術大学で非常勤講師。日本近代文学会、昭和文学会、四季派学会会員。『アナホリッシュ國文学』編集顧問。
著書など:詩誌『麒麟』『ミニヨン』『ミニヨン・ビス』、詩集『天使』『光の揺れる庭で』『心のどこにもうたが消えたときの哀歌』、評論・エッセイ『裸形の言ノ葉--吉増剛造を読む』『折口信夫・霊性の思索者』『テクストの思考 日本近現代文学を読む』『ブリティッシュ・ロック 思想・魂・哲学』、共編著『レッスン : poemes collectifs』『やさしい現代詩』『生きのびろ、ことば』『ロック天狗連 東京大学ブリティッシュロック研究会と七〇年代ロックの展開について知っている二、三の事柄』
著書など:詩誌『麒麟』『ミニヨン』『ミニヨン・ビス』、詩集『天使』『光の揺れる庭で』『心のどこにもうたが消えたときの哀歌』、評論・エッセイ『裸形の言ノ葉--吉増剛造を読む』『折口信夫・霊性の思索者』『テクストの思考 日本近現代文学を読む』『ブリティッシュ・ロック 思想・魂・哲学』、共編著『レッスン : poemes collectifs』『やさしい現代詩』『生きのびろ、ことば』『ロック天狗連 東京大学ブリティッシュロック研究会と七〇年代ロックの展開について知っている二、三の事柄』
目次
第一章 暮らしのなかの詩
1 縄文遺跡の街に暮らす
2 座右の書——『三好達治随筆集』
3 佐藤春夫と熊野--「詩境」ゆかし潟を訪ねて
4 まちのうた--西荻窪・車窓の眺め
5 汽水の町の記憶
6 芝不器男の町を訪ねて 上・下
7 「小さな旅」と「世界の車窓から」
8 思い出の本--森有正『バビロンの流れのほとりにて』
9 朔太郎が暮らした街、下北沢を歩く
10 仙川は日想観の街?
11 「プネウマの詩学」と「日想観」思想
12 詩魂を抱いた学匠詩人--目崎徳衛氏を悼む
13 追想・北村太郎さん
14 北村太郎と「いいにおい」の死
15 入沢康夫氏を悼む
16 如月小春追想
17 冬の日--「くるきち」と金子信子さん追悼
18 開店一周年のころ--わが青春のポロン亭
19 和歌浦・玉津島神社——私だけの名所案内
第二章 現代詩とその周辺
1 「詩人」とは誰だろう
2 「麒麟」創刊をめぐって
3 なお生きる詩魂——生誕125周年 萩原朔太郎展
4 三好達治と高浜虚子・その文学的交点
5 新公開資料・三好達治の卒業論文「ポール・ヴェルレーヌの「智慧」に就て」
6 西脇順三郎の『詩学』のこと
7 瀧口修造晩年の「諺」について
8 小樽文学館に瀧口修造展を訪ねる
9 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』再読
10 歩行しながら思索するモダニスト 田村隆一(名詩アンソロジー解説)
11 郷里の亡霊たちへの祈り——ハリストス正教の影で十田撓子詩集『銘度利加』解説
12 郷土史の裂目を生きる 栗原洋一詩集『岩船』解説
13 液晶画面のなかの「永遠」 野村龍詩集『perpetual β』解説
14 峯澤典子さんのこと--第64回H氏賞受賞を祝って
15 革命前夜の詩的言語--帷子耀の誕生をめぐって
16 批評装置としての「装丁」——菊地信義の仕事をめぐって
17 金時鐘--反暗喩の詩法について
18 〈文人〉精神の現代的展開——服部南郭・祇園南海から吉増剛造・車谷長吉まで
19 石川淳の『諸国畸人伝』を薦めます
第三章 俳句のポエジー・短歌のポエジー
1 詩的言語としての芭蕉俳諧
2 ジャーナリスト正岡子規
3 高浜虚子を読む——〈挨拶〉と〈滑稽〉を視座として
4 虚子的なるものの系譜--飴山實の俳句論を手がかりに
5 現代俳句管見
6 海の主題とストレンジャー--岡野弘彦歌集『滄浪歌』を読む
7 歌ことばの光学--米川千嘉子歌集『夏空の櫂』再読
8 ピュアな歌ごころの墓標--安藤美保歌集『水の粒子』
9 結い直された〈みだれ髪〉——俵万智『チョコレート語訳みだれ髪』にふれて
10 短歌定型の窮屈さについて
11 「木を見て森を見ず」ではないか——江田浩司『私は言葉だった 初期山中智恵子論』を読む
第四章 書評——小説を読む
1 優雅で的確に四囲を写しとるペンの運び
堀江敏幸『ゼラニウム』
2 市井の暮しへの静謐なまなざし
堀江敏幸『雪沼とその周辺』
3 詩は空への眼差しから始まる
ジャック・レダ著 堀江敏幸訳『パリの廃墟』
4 終末を生きる自意識が経験した夢魔と官能の物語
松浦寿輝『あやめ 鰈 ひかがみ』
5 ポエジーに触れた後の深々とした余韻
平田俊子『ピアノサンド』
6 等身大の秩序を食い破った異貌の物語
小池昌代『ことば汁』
7 凶暴な反「家族小説」の誕生
清水博子『ぐずべり』
8 鏡に映った等身大の作家像
岩阪恵子『わたしの木下杢太郎』
9 ひとりの女性作家の日常を主題とした私小説
金井美恵子『待つこと、忘れること』
10 現在に召喚されるべき「テロルの作家」の評伝
陣野俊史『テロルの伝説 桐山襲烈伝』
11 末期の眼がとらえた〈南部〉的人間劇を描く
フラナリー・オコナー『善人はなかなかいない』
12 人生の廃品のなかに見つけた詩
チャールズ・ブコウスキー『ありきたりの狂気の物語』
13 彼を「パンク」で括れるのか
チャールズ・ブコウスキー『オールドパンク、哄笑する』
14 ドラッグカルチャーの落し子による「他者の国」の産物
デニス・ジョンソン『ジーザス・サン』
15 ポップカルチャーの寵児による「純文学」
テリー・サザーン『レッド・ダート・マリファナ』
16 本邦初紹介のバスク文学
ベルナルド・アチャーガ『オババコアック』
17 スラヴ的なるものの力
セルゲイ・ドブラートフ『わが家の人びと ドブラートフ家年代記』
18 南部的想像力とマジック・リアリズムの賜物
バリー・ハナ『地獄のコウモリ軍団』
第五章 書評——詩集・詩書を読む
1 剥き出された自然〔ピュシス〕
吉増剛造『裸のメモ』
2 詩が〈何処にもない〉現在への危機感
吉増剛造『何処にもない木』
3 俊敏なジャーナリスト感覚と端的な措辞
大岡信『精選 折々のうた 上・中・下』
4 記号が棄損されモノとなった言葉
吉岡実『薬玉』
5 シュルレアリスムにおける写真の重要性
瀧口修造『白と黒の断想』
6 孤独の相の底無しの深さ
北村太郎『すてきな人生』
7 霊的な交流を希求したリルケの書簡を読む
志村ふくみ『薔薇のことぶれ リルケ書簡』
8 大切な十五人の詩人たちの肖像
白石かずこ『詩の風景・詩人の肖像』
9 沸騰した六十年代を象徴する詩篇
白石かずこ『白石かずこ詩集成㈵』
10 器用仕事〔ブリコラージュ〕としての詩歌の現場報告
岡井隆『詩の点滅 詩と短歌のあひだ』
11 註解詩という新様式の創造
岡井隆『註解する者』
12 語りの本質の探求を国語学的アプローチで試みる
藤井貞和『文法的詩学』
13 まっすぐな「文学」愛を語る
荒川洋治『文学の空気のあるところ』
14 現代詩の諸問題を対話形式で討議
稲川方人・瀬尾育生『詩的間伐』
15 徹頭徹尾隠喩で書かれた詩篇
松本邦吉『発熱頌』
16 「生きる」ことへの寛容な思いやり
松本邦吉『しずかな人 春の海』
17 現代詩の外部を対象とした啓蒙の書
松浦寿輝『詩の波 詩の岸辺』
18 詩人としてのブルトンを丁寧に論じる
朝吹亮二『アンドレ・ブルトンの詩的世界』
19 詩〔ポエジー〕への強いこだわり
四方田犬彦『わが煉獄』
20 自らの詩業を回顧しつつ詩と哲学の接近を検証
野村喜和夫『哲学の骨、詩の肉』
21 現代詩の地層にある未解決の問題を指摘
矢野静明『日本モダニズムの未帰還状態』
22 暗喩を捨てた文体による画期的な達成
高橋順子『時の雨』
23 「わたし」の声が紡ぐピュアな物語
峯澤典子『あのとき冬の子どもたち』
23 本説取りの方法による劇的想像力の発露
森井マスミ『ちろりに過ぐる』
24 フェミニンな抒情句の魅力
浦川聡子『眠れる木』
第六章 書評——批評を読む
1 自由闊達に語られた古今の美術と文学の世界
芳賀徹『藝術の国日本』
2 あらゆる知見を動員したタウトをめぐる大著
長谷川章『ブルーノ・タウト研究』
3 室内のアウラ喪失をめぐる現象学的思弁
柏木博『探偵小説の室内』
4 鬱然たる学殖すら粉砕する詩的癇癪の力
阿部良雄『シャルル・ボードレール 〈現代性の成立〉』
5 安楽のファシズムを蹴っとばせ
藤田省三『全体主義の時代経験』
6 地上最強の母子家庭を活写
秋山祐徳太子『秋山祐徳太子の母』
7 コンテンポラリーダンス愛好家が綴る哲学的思考
多木浩二『思想の舞台』
8 隣人の息子の手になる作家の小伝
萩原朔美『死んだら何を書いてもいいわ 母・萩原葉子との百八十六日』
9 ロードエッセイストが導く「世界の響き」との遭遇
管啓次郎『本は読めないものだから心配するな』
10 文献考古学の方法を駆使し霊的なネットワークに注目
安藤礼二『場所と産霊 近代日本思想史』
11 折口学の新しいスタートラインを引く大仕事
安藤礼二『折口信夫』
12 最も純粋な旧制高校的精神の産物
原口統三『二十歳のエチュード』
13 分析主体のラディカルなデジタル感覚
高橋世織『感覚のモダン——朔太郎・潤一郎・乱歩』
14 回文という過激な言語実験の試みの書
福田尚代『ひかり埃のきみ』
15 書物の外の文学領域の考察
守安敏久『メディア横断芸術論』
16 同時代のパラダイムを超えた過激なマイナー文学の実践
可能涼介『圧縮文学集成』
17 革命の詩的意味を問う
オクタビオ・パス『もうひとつの声』
18 デジタルテクノロジー批判と神秘主義思想
ジェイムズ・メリル『ミラベルの数の書』
19 戦争詩の朗読の問題と声との親和性を批判
坪井秀人『声の祝祭 日本近代詩と戦争』
20 小さな虫たちへの小さくない著者の愛情
安富和男『害虫博物館 昆虫たちの「小進化」』
21 ロックギタリストが少年時代を回想した物語
キース・リチャーズ『ガス・アンド・ミー ガスじいさんとはじめてのギターの物語』
22 ロックシーンの生き証人による貴重な回顧録
キャロル・キング『キャロル・キング自伝 ナチュラル・ウーマン』
23 人生を語る言葉のリズムはロックそのもの
スティーヴン・タイラー『スティーヴン・タイラー自伝』
24 女性たちの人生の手応えが胸に残る
蘇芳のり子『モンパルナスの少女』
25 稀な観察眼と文体を持ったエッセイスト/ダンサー
室野井洋子『ダンサーは消える』
第七章 美術・映画・ダンスのなかの詩
1 森堯茂さんのこと——そのモダニズムとダンディズム
2 造形思考の魅力——森堯茂彫刻展に寄せて
3 抽象貯穀とともに歩む——森堯茂物語
4 「楽天」という友愛の磁場——万作と草田男の文学的青春
5 なぜわたしは〈撮る〉か——萱原里砂・笹岡啓子・高橋あい 写真家の肖像
6 寓意としての原初的なるものの痕跡——版画家柳澤紀子の世界
7 人間の消えた空き地に物たちはいる——展覧会「空き地」のために
8 「2であること」の神秘——岡崎和郎/大西伸明「OBJECT 2」展のために
9 世田谷美術館「瀧口修造 夢の漂流物」展を訪ねて
10 東京都写真美術館「森山大道展」によせて
11 ふたりの中国人監督——陳凱歌〔チェン・カイコー〕と侯孝賢〔ホウ・シャオシエン〕
12 光と影の山水画——侯孝賢『戯夢人生』にふれて
13 慈悲と残酷——ピナ・バウシュの舞台の神々しさ
14 ピナ、舞台のポエジ—--ヴッパタール舞踊団『天地TENCHI』公演
15 劇的想像力の祝祭——ヤン・ファーブル『わたしは血〜中世妖精物語』
16 遊戯の暴力——DV8フィジカル・シアター『エンター・アキレス』
17 崩壊のカタルシス——ローザス『ビッチェズ・ブリュー/タコマ・ナロウズ』
18 アヴァンギャルドなキャバレー空間を現出——フィリップ・ドゥクフレカンパニーDCA『CONTACT--コンタクト』
19 眠りの神が運ぶ夢のなかの身体表象——勅使川原三郎&KARAS 『睡眠——Sleep』
20 ムイシュキンの無声の叫び——勅使川原三郎&KARAS 『白痴』
21 猥雑な表現、崇高な余韻——ダンサー山崎広太
22 吉増剛造+笠井叡『足裏の律動〔リズム〕』公演を観て
23 ダンスとポエジーの明日のために
24 大野一雄さんを偲ぶ
1 縄文遺跡の街に暮らす
2 座右の書——『三好達治随筆集』
3 佐藤春夫と熊野--「詩境」ゆかし潟を訪ねて
4 まちのうた--西荻窪・車窓の眺め
5 汽水の町の記憶
6 芝不器男の町を訪ねて 上・下
7 「小さな旅」と「世界の車窓から」
8 思い出の本--森有正『バビロンの流れのほとりにて』
9 朔太郎が暮らした街、下北沢を歩く
10 仙川は日想観の街?
11 「プネウマの詩学」と「日想観」思想
12 詩魂を抱いた学匠詩人--目崎徳衛氏を悼む
13 追想・北村太郎さん
14 北村太郎と「いいにおい」の死
15 入沢康夫氏を悼む
16 如月小春追想
17 冬の日--「くるきち」と金子信子さん追悼
18 開店一周年のころ--わが青春のポロン亭
19 和歌浦・玉津島神社——私だけの名所案内
第二章 現代詩とその周辺
1 「詩人」とは誰だろう
2 「麒麟」創刊をめぐって
3 なお生きる詩魂——生誕125周年 萩原朔太郎展
4 三好達治と高浜虚子・その文学的交点
5 新公開資料・三好達治の卒業論文「ポール・ヴェルレーヌの「智慧」に就て」
6 西脇順三郎の『詩学』のこと
7 瀧口修造晩年の「諺」について
8 小樽文学館に瀧口修造展を訪ねる
9 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』再読
10 歩行しながら思索するモダニスト 田村隆一(名詩アンソロジー解説)
11 郷里の亡霊たちへの祈り——ハリストス正教の影で十田撓子詩集『銘度利加』解説
12 郷土史の裂目を生きる 栗原洋一詩集『岩船』解説
13 液晶画面のなかの「永遠」 野村龍詩集『perpetual β』解説
14 峯澤典子さんのこと--第64回H氏賞受賞を祝って
15 革命前夜の詩的言語--帷子耀の誕生をめぐって
16 批評装置としての「装丁」——菊地信義の仕事をめぐって
17 金時鐘--反暗喩の詩法について
18 〈文人〉精神の現代的展開——服部南郭・祇園南海から吉増剛造・車谷長吉まで
19 石川淳の『諸国畸人伝』を薦めます
第三章 俳句のポエジー・短歌のポエジー
1 詩的言語としての芭蕉俳諧
2 ジャーナリスト正岡子規
3 高浜虚子を読む——〈挨拶〉と〈滑稽〉を視座として
4 虚子的なるものの系譜--飴山實の俳句論を手がかりに
5 現代俳句管見
6 海の主題とストレンジャー--岡野弘彦歌集『滄浪歌』を読む
7 歌ことばの光学--米川千嘉子歌集『夏空の櫂』再読
8 ピュアな歌ごころの墓標--安藤美保歌集『水の粒子』
9 結い直された〈みだれ髪〉——俵万智『チョコレート語訳みだれ髪』にふれて
10 短歌定型の窮屈さについて
11 「木を見て森を見ず」ではないか——江田浩司『私は言葉だった 初期山中智恵子論』を読む
第四章 書評——小説を読む
1 優雅で的確に四囲を写しとるペンの運び
堀江敏幸『ゼラニウム』
2 市井の暮しへの静謐なまなざし
堀江敏幸『雪沼とその周辺』
3 詩は空への眼差しから始まる
ジャック・レダ著 堀江敏幸訳『パリの廃墟』
4 終末を生きる自意識が経験した夢魔と官能の物語
松浦寿輝『あやめ 鰈 ひかがみ』
5 ポエジーに触れた後の深々とした余韻
平田俊子『ピアノサンド』
6 等身大の秩序を食い破った異貌の物語
小池昌代『ことば汁』
7 凶暴な反「家族小説」の誕生
清水博子『ぐずべり』
8 鏡に映った等身大の作家像
岩阪恵子『わたしの木下杢太郎』
9 ひとりの女性作家の日常を主題とした私小説
金井美恵子『待つこと、忘れること』
10 現在に召喚されるべき「テロルの作家」の評伝
陣野俊史『テロルの伝説 桐山襲烈伝』
11 末期の眼がとらえた〈南部〉的人間劇を描く
フラナリー・オコナー『善人はなかなかいない』
12 人生の廃品のなかに見つけた詩
チャールズ・ブコウスキー『ありきたりの狂気の物語』
13 彼を「パンク」で括れるのか
チャールズ・ブコウスキー『オールドパンク、哄笑する』
14 ドラッグカルチャーの落し子による「他者の国」の産物
デニス・ジョンソン『ジーザス・サン』
15 ポップカルチャーの寵児による「純文学」
テリー・サザーン『レッド・ダート・マリファナ』
16 本邦初紹介のバスク文学
ベルナルド・アチャーガ『オババコアック』
17 スラヴ的なるものの力
セルゲイ・ドブラートフ『わが家の人びと ドブラートフ家年代記』
18 南部的想像力とマジック・リアリズムの賜物
バリー・ハナ『地獄のコウモリ軍団』
第五章 書評——詩集・詩書を読む
1 剥き出された自然〔ピュシス〕
吉増剛造『裸のメモ』
2 詩が〈何処にもない〉現在への危機感
吉増剛造『何処にもない木』
3 俊敏なジャーナリスト感覚と端的な措辞
大岡信『精選 折々のうた 上・中・下』
4 記号が棄損されモノとなった言葉
吉岡実『薬玉』
5 シュルレアリスムにおける写真の重要性
瀧口修造『白と黒の断想』
6 孤独の相の底無しの深さ
北村太郎『すてきな人生』
7 霊的な交流を希求したリルケの書簡を読む
志村ふくみ『薔薇のことぶれ リルケ書簡』
8 大切な十五人の詩人たちの肖像
白石かずこ『詩の風景・詩人の肖像』
9 沸騰した六十年代を象徴する詩篇
白石かずこ『白石かずこ詩集成㈵』
10 器用仕事〔ブリコラージュ〕としての詩歌の現場報告
岡井隆『詩の点滅 詩と短歌のあひだ』
11 註解詩という新様式の創造
岡井隆『註解する者』
12 語りの本質の探求を国語学的アプローチで試みる
藤井貞和『文法的詩学』
13 まっすぐな「文学」愛を語る
荒川洋治『文学の空気のあるところ』
14 現代詩の諸問題を対話形式で討議
稲川方人・瀬尾育生『詩的間伐』
15 徹頭徹尾隠喩で書かれた詩篇
松本邦吉『発熱頌』
16 「生きる」ことへの寛容な思いやり
松本邦吉『しずかな人 春の海』
17 現代詩の外部を対象とした啓蒙の書
松浦寿輝『詩の波 詩の岸辺』
18 詩人としてのブルトンを丁寧に論じる
朝吹亮二『アンドレ・ブルトンの詩的世界』
19 詩〔ポエジー〕への強いこだわり
四方田犬彦『わが煉獄』
20 自らの詩業を回顧しつつ詩と哲学の接近を検証
野村喜和夫『哲学の骨、詩の肉』
21 現代詩の地層にある未解決の問題を指摘
矢野静明『日本モダニズムの未帰還状態』
22 暗喩を捨てた文体による画期的な達成
高橋順子『時の雨』
23 「わたし」の声が紡ぐピュアな物語
峯澤典子『あのとき冬の子どもたち』
23 本説取りの方法による劇的想像力の発露
森井マスミ『ちろりに過ぐる』
24 フェミニンな抒情句の魅力
浦川聡子『眠れる木』
第六章 書評——批評を読む
1 自由闊達に語られた古今の美術と文学の世界
芳賀徹『藝術の国日本』
2 あらゆる知見を動員したタウトをめぐる大著
長谷川章『ブルーノ・タウト研究』
3 室内のアウラ喪失をめぐる現象学的思弁
柏木博『探偵小説の室内』
4 鬱然たる学殖すら粉砕する詩的癇癪の力
阿部良雄『シャルル・ボードレール 〈現代性の成立〉』
5 安楽のファシズムを蹴っとばせ
藤田省三『全体主義の時代経験』
6 地上最強の母子家庭を活写
秋山祐徳太子『秋山祐徳太子の母』
7 コンテンポラリーダンス愛好家が綴る哲学的思考
多木浩二『思想の舞台』
8 隣人の息子の手になる作家の小伝
萩原朔美『死んだら何を書いてもいいわ 母・萩原葉子との百八十六日』
9 ロードエッセイストが導く「世界の響き」との遭遇
管啓次郎『本は読めないものだから心配するな』
10 文献考古学の方法を駆使し霊的なネットワークに注目
安藤礼二『場所と産霊 近代日本思想史』
11 折口学の新しいスタートラインを引く大仕事
安藤礼二『折口信夫』
12 最も純粋な旧制高校的精神の産物
原口統三『二十歳のエチュード』
13 分析主体のラディカルなデジタル感覚
高橋世織『感覚のモダン——朔太郎・潤一郎・乱歩』
14 回文という過激な言語実験の試みの書
福田尚代『ひかり埃のきみ』
15 書物の外の文学領域の考察
守安敏久『メディア横断芸術論』
16 同時代のパラダイムを超えた過激なマイナー文学の実践
可能涼介『圧縮文学集成』
17 革命の詩的意味を問う
オクタビオ・パス『もうひとつの声』
18 デジタルテクノロジー批判と神秘主義思想
ジェイムズ・メリル『ミラベルの数の書』
19 戦争詩の朗読の問題と声との親和性を批判
坪井秀人『声の祝祭 日本近代詩と戦争』
20 小さな虫たちへの小さくない著者の愛情
安富和男『害虫博物館 昆虫たちの「小進化」』
21 ロックギタリストが少年時代を回想した物語
キース・リチャーズ『ガス・アンド・ミー ガスじいさんとはじめてのギターの物語』
22 ロックシーンの生き証人による貴重な回顧録
キャロル・キング『キャロル・キング自伝 ナチュラル・ウーマン』
23 人生を語る言葉のリズムはロックそのもの
スティーヴン・タイラー『スティーヴン・タイラー自伝』
24 女性たちの人生の手応えが胸に残る
蘇芳のり子『モンパルナスの少女』
25 稀な観察眼と文体を持ったエッセイスト/ダンサー
室野井洋子『ダンサーは消える』
第七章 美術・映画・ダンスのなかの詩
1 森堯茂さんのこと——そのモダニズムとダンディズム
2 造形思考の魅力——森堯茂彫刻展に寄せて
3 抽象貯穀とともに歩む——森堯茂物語
4 「楽天」という友愛の磁場——万作と草田男の文学的青春
5 なぜわたしは〈撮る〉か——萱原里砂・笹岡啓子・高橋あい 写真家の肖像
6 寓意としての原初的なるものの痕跡——版画家柳澤紀子の世界
7 人間の消えた空き地に物たちはいる——展覧会「空き地」のために
8 「2であること」の神秘——岡崎和郎/大西伸明「OBJECT 2」展のために
9 世田谷美術館「瀧口修造 夢の漂流物」展を訪ねて
10 東京都写真美術館「森山大道展」によせて
11 ふたりの中国人監督——陳凱歌〔チェン・カイコー〕と侯孝賢〔ホウ・シャオシエン〕
12 光と影の山水画——侯孝賢『戯夢人生』にふれて
13 慈悲と残酷——ピナ・バウシュの舞台の神々しさ
14 ピナ、舞台のポエジ—--ヴッパタール舞踊団『天地TENCHI』公演
15 劇的想像力の祝祭——ヤン・ファーブル『わたしは血〜中世妖精物語』
16 遊戯の暴力——DV8フィジカル・シアター『エンター・アキレス』
17 崩壊のカタルシス——ローザス『ビッチェズ・ブリュー/タコマ・ナロウズ』
18 アヴァンギャルドなキャバレー空間を現出——フィリップ・ドゥクフレカンパニーDCA『CONTACT--コンタクト』
19 眠りの神が運ぶ夢のなかの身体表象——勅使川原三郎&KARAS 『睡眠——Sleep』
20 ムイシュキンの無声の叫び——勅使川原三郎&KARAS 『白痴』
21 猥雑な表現、崇高な余韻——ダンサー山崎広太
22 吉増剛造+笠井叡『足裏の律動〔リズム〕』公演を観て
23 ダンスとポエジーの明日のために
24 大野一雄さんを偲ぶ
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