タイトル 堺利彦と葉山嘉樹
サブタイトル 無産政党の社会運動と文化運動
刊行日 2021年5月21日
著者 小正路淑泰
定価 5000円+税
ISBN 978-4-8460-1615-9
Cコード 0036
ページ数 472
判型 A5
製本 上製
内容
戦前日本の初期社会主義研究の地平を拓く!
日本の初期社会主義活動を支えた堺利彦、プロレタリア作家葉山嘉樹、アイヌ民族の差別撤廃を訴えた鶴田知也、水平運動・農民運動家の田原春次の四人をキーパーソンに、無産政党周辺の活動を詳細に記す。
著者紹介
小正路淑泰(こしょうじ・としやす)
1961年福岡県行橋市生まれ。九州大学法学部卒。政治史・社会運動史。
福岡県立学校教員として福岡県教育庁教育振興部人権・同和教育課指導主事、福岡県教育センター教育経営部主任指導主事、育徳館中学校・高等学校長、小倉東高等学校長、福岡県高等学校人権・同和教育研究協議会長などを歴任。
◎編著
『鶴田知也作品選』(鶴田知也顕彰事業推進委員会、1992年)、『堺利彦獄中書簡を読む』(菁柿堂、2011年)、『葉山嘉樹・真実を語る文学』(花乱社、2012年)、『堺利彦――初期社会主義の思想圏』(論創社、2016年)。
◎共著
『豊津町史』下巻(豊津町、1996年)、『葉山嘉樹短編小説選集』(郷土出版社、1997年)、『日本の文学館百五十選』(淡交社、1999年)、『地域から問う国家・社会・世界――「九州・沖縄」から何が見えるか』(ナカニシヤ出版、2000年)、『社会主義の世紀』(法律文化社、2004年)、『フロンティアの文学――雑誌『種蒔く人』の再検討』(論創社、2005年)、『行橋市史』下巻(行橋市、2006年)、『福岡県の不思議事典』(新人物往来社、2007年)、『「文芸戦線」とプロレタリア文学』(龍書房、2008年)、『コシャマイン記・ベロニカ物語――鶴田知也作品集』(講談社文芸文庫、2009年)、『近現代日本社会運動家自伝・回顧録解題』(同志社大学人文科学研究所、2010年)、『里村欣三の眼差し――里村欣三生誕110年記念誌』(吉備人出版、2013年)、『大杉栄と仲間たち――『近代思想』創刊100年』(ぱる出版、2013年)、『堺利彦記念館旧蔵資料目録』(みやこ町歴史民俗博物館、2013年)、『「ある女工記」DVD BOOK――葉山嘉樹『淫売婦』、小説から映画へ』(花乱社、2020年)。
目次
第Ⅰ部 堺利彦
第一章 日露戦争前後の堺利彦と末松謙澄——非戦論と広報文化外交
1 毛利家編輯所での出会いとその後の政治的対抗
2 日露戦争時の非戦論と広報文化外交の交錯
第二章 金曜会屋上演説事件の堺利彦獄中書簡
1 史料源と金曜会屋上演説事件について
2 初期社会主義機関誌紙類に掲載されなかった新資料
【資料紹介】金曜会屋上演説事件の堺利彦獄中書簡(東京監獄未決期二通)
第三章 記載されていなかった売文社広告文案——堺利彦の赤旗事件獄中書簡を読む
1 はじめに
2 『楽天囚人』収録時の削除部分
3 『楽天囚人』収録時の加筆箇所
4 おわりに
第四章 堺利彦と大杉栄
1 第一次『近代思想』と堺利彦
2 日本社会主義同盟の理念を継承
第五章 堺利彦農民労働学校における堺利彦の講義と演説
1 はじめに
2 第一期堺利彦農民労働学校の講義・演説・挨拶・談話
3 第二期堺利彦農民労働学校の講義・演説・挨拶・談話
4 おわりに
第六章 無産婦人同盟福岡県支部の光芒——堺真柄と福岡県の無産女性運動
1 はじめに
2 第一期堺利彦農民労働学校と堺真柄の動向
3 無産婦人同盟福岡県支部の結成と自然消滅
4 おわりに
第七章 プロレタリア科学研究所・川内唯彦——第二期堺利彦農民労働学校の講師招聘計画と戦後の動向
1 はじめに
2 豊津中、東京外語からM・L会へ
3 第二期堺利彦農民労働学校への川内唯彦の講師招聘計画
4 山辺健太郎へ『堺利彦評伝』執筆を依頼
5 おわりに
第八章 堺利彦をめぐる一九五五年の情景と言説——堺利彦顕彰会の起点
1 はじめに
2 一九五五年の情景と言
3 草創期の堺利彦顕彰会
4 おわりに
補論一 戦前期の瓢鰻亭・前田俊彦——思想的営為の原型を探る
1 はじめに
2 豊津中時代の自己形成から全協関東自由まで
3 大阪・京都での合法・非合法活動
4 思想犯保護団体・九州更新会書記
5 おわりに
第Ⅱ部 葉山嘉樹
第一章 プロレタリア作家・葉山嘉樹の真実——豊津中学『校友会雑誌』掲載作文
1 作家等を続々と輩出
2 葉山嘉樹の『校友会雑誌』掲載作文
第二章 葉山嘉樹の未発表・未発掘作品「中学校事件」——一九一一年豊津中学同盟休校事件の実体験を投影
1 『夕刊大阪新聞』掲載予定の未発表作品「中学校事件」
2 豊津中学校の描写
第三章 堺利彦農民労働学校のアドバイザー葉山嘉樹
1 はじめに
2 無産大衆党九州遊説の反響
3 葉山嘉樹の支援
4 群馬県「無産村強戸」の対抗教育
5 おわりに
第四章 葉山嘉樹原作の映画「ある女工記」に反映された史実
1 はじめに——ロケ地ゆかりの作品「凡父子」
2 主人公・香山正吉の社会意識と成長を促す堺利彦農民労働学校
3 新たな共同体的秩序を模索した同人誌『村の我等』
4 おわりに——映画「ある女工記」が照らし出す世界
第五章 葉山嘉樹と広野八郎
1 中西伊之助創刊予定の『実践』へ寄稿
2 広野八郎の葉山嘉樹回顧録
【資料紹介】ある日の日記/葉山嘉樹
補論二 農民詩人・定村比呂志の軌跡
1 「農民自治主義」への共鳴
2 発禁詩集『廃園の血脈』
3 皇国農民自治連盟へ接近
第Ⅲ部 鶴田知也
第一章 鶴田知也「コシャマイン記」断章
1 解平社の系譜への連帯——「ペンケル物語」と「コシャマイン記」
2 アイヌとの出会い——「神々の心」
3 アイヌの反応——山本多助「ユーカラ コシャマイヌ」
第二章 鶴田知也の樺太旅行——『樺太日日新聞』掲載座談会記録(一九三九年九月)を手がかりとして
1 サハリン先住民族への眼差し
2 「コシャマイン記」の批評
3 樺太文化論の確立
第三章 鶴田知也と火野葦平
1 鶴田知也の火野葦平宛書簡をめぐって
2 火野葦平を第六回芥川賞銓衡委員会へ推奨
第四章 鶴田知也と戦後農業問題——酪農・開拓・共同経営・農民文学
1 はじめに
2 横手・秋田疎開時代(一九四五〜一九五〇)
3 日本農民文学会結成前後(一九五一〜一九六〇)
4 農業共同経営推進協議会/農業・農民協会時代(一九六一〜一九八六)
5 おわりに
第五章 鶴田勝子の女性運動——文芸戦線派から市川房枝の「理想選挙」まで
1 文芸戦線派の時代
2 市川房枝の「理想選挙」
第六章 〝教育の中心地・異質な村〟豊津の文学志向風土
1 ひとつの抵抗
2 豊津の「記憶」と「記録」
【資料紹介】歴史のふるさと/生石久子
補論三 海軍報道班員として戦死した直木賞作家・神崎武雄

第Ⅳ部 田原春次
第一章 水平運動・農民運動の指導者・田原春次
1 全国水平社東京支部までの道程
2 被差別部落小作農を組織
3 田原春次・吉川兼光兄弟の部落民アイデンティティ
【資料紹介】私の故郷の記憶/田原春次
第二章 承認と逸脱をめぐる政治——全国水平社未組織農村における農民運動と水平運動
1 はじめに
2 全農総本部派京築委員会の結成
3 差別糺弾——全農京築委員会の運動課題の変容
4 機関紙『社会新聞』北九州版
5 ミヤコ医療組合実費診療所——「俺達の病院」
6 おわりに
第三章 昭和恐慌期小作農民の生活実態と全農総本部派の対応——第五期堺利彦農民労働学校講義内容の検討を通して
1 はじめに
2 第四期堺利彦農民労働学校の企画概要と松本治一郎の招聘
3 第五期堺利彦農民労働学校の講義内容
4 全農福岡県連の「肥料問題」「負債問題」への対応
5 おわりに
第四章 堺利彦農民労働学校の再編——九州植民学校構想から九州農民学校開設へ
1 はじめに
2 九州植民学校設立構想(一九三四年七月)
3 九州農民学校へ再編(一九三八年五月)
4 おわりに
補論四 仏教系融和運動家・豊津中学校第五代校長・二十二鉄鎧
1 はじめに
2 その生涯
3 仏教系融和運動の事跡
4 おわりに
初出一覧
あとがき
関連書籍
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