タイトル 満洲 夢のあとさき
サブタイトル 日本語教師の記録
刊行日 2021年7月12日
著者 建石一郎
定価 2200円+税
ISBN 978-4-8460-2045-3
Cコード 0095
ページ数 320
判型 四六
製本 上製
内容
中国東北部に位置する吉林省長春市の東北師範大学に日本語教師として赴任した著者の奮闘記である。本書には幾つかの特色がある。
1つは、学生や教員との触れ合いが記される中で、少数民族として生きている朝鮮族やウイグル族の学生たちが漢民族と平等の扱いを受けていない境遇が学生たちの言葉を通して赤裸々に綴られていることである。
1つは、教員たちが大学の朝令暮改的な大学行政や、共産党の意向が強く反映される一面が一人の教員の授業展開を通して浮き彫りにされていることである。
そしてもう1つは、長春が旧満州国の首都・新京だっただけに、まだその時代の建築物などが多く残されていて、著者がそれぞれの場所を訪れ、歴史を振り返り、みずからの思いを記していることである。
本書は日本語教師の単なる日本語教育の記録ではない。「満洲」をキーワードに、日本帝国の傀儡国家が中国東北部で行った行為と抑圧に苦しむ民衆を救ったかつての中国共産党、そして、現在の中華人民共和国政府が民衆に及ぼしている一党独裁的な行為が一部重ね合わされていくのである。
著者の語り口が物静かなだけに、時折、見せるかつての日本帝国の支配者としての行為や現在の中国政府が行っている少数民族への差別的政策や貧富の差が一層大きくなっている現状への怒りには大いに納得がいく。
なお本書には「満洲国関連の事項および人名索引」が巻末に付されていて、読者には便宜を与えるにちがいない。かつて日本が侵略していった旧満洲地域への筆者の探究心が並々でないことが強く印象づけられる。
著者紹介
1943年東京生まれ。法政大学卒。2014年インド・ベンガルール、サクラ日本語センターなど教育機関で、日本語中上級、卒論等を教える。元日本社会文学会評議員、元厚生労働省モニター及び事業仕分け人。著書に『福祉が人を生かすとき』(あけび書房)『《満洲国》文化細目』(不二出版・共同執筆)『夢と希望を載せて』(図書出版アルム)『ラストエンペラーの居た街で』(あけび書房) 『柳絮舞い散る街・長春で』(論創社)
目次
はじめに 
日本出発前日の小旅行 
二年目の大学生活、長春へ戻る 
呂元明先生と「満洲作家」李民さんに会う 
学生たちが帰省先から帰ってきた 
我孫子先生の後任に新しい先生方 
新三年生の授業問題がくすぶる 
河本先生へのボイコット騒動 
河本先生の決意 
呂先生方と北京ダックで会食 
今日は教師節である 
第二週目が始まった 
韓国、呉英珍先生の突然の訪問 
呉先生の思わぬ展開 
トルファンの学生達と 
国慶節が始まる 
妻と楊錻君と哈爾賓へ行く
降りる駅を間違えた長山屯駅・そして査干湖へ 
夏のような暑さが続き松原市へ 
国慶節後の最初の授業が始まる 
暖か日より、学生たちとカレーを作る
ウイグル族の学生と昼食をとる 
ウイグル族の悩み 
やっぱり寒さがやってきた 
久しぶりに長春市内を歩き、旧東本願寺などを観る 
今日も一日中働きづめだった 
長春市内の西方、旧満洲時代の遺跡を訪ねる 

日本語学部生の日本語能力試験日 
風邪をひいて四〇度近い熱を出す 
楊錻君のすすめで点滴と注射を打ってもらった 期
末試験が始まって 
カンニングの話と、旬一銘君が李昊瞳君と訪ねてきた話 
朝鮮族の日本語教育について 
中国の教育制度とは

付録:満州国関連事項索引 
あとがき
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