タイトル | 荷風と玉の井 |
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サブタイトル | 「ぬけられます」の修辞学 |
刊行日 | 2019年5月15日 |
著者 | 嶋田直哉 |
定価 | ¥2200円+税 |
ISBN | 978-4-8460-1820-7 |
Cコード | 0095 |
ページ数 | 256 |
判型 | 四六 |
製本 | 上製 |
内容
永井荷風の文学世界でとりわけ有名なのは『墨東綺譚』と玉の井である。「赤線玉の井、ぬけられます」として知られるが、実は赤線ではない。赤線は公娼だが、私娼、イリーガルな売春婦の街なのだ。荷風が最初に訪れた年には、玉の井バラバラ殺人事件が起こり、時に「魔窟」とも呼ばれた街に荷風は足繁く通い、ルポ文学のような形で物語を生み出した。それはどうしてなのか。そんな場所を描きながら、新聞小説として、木村荘八の挿絵とともに知られる荷風と玉の井。明治大学で近代文学を講じる若手研究者、嶋田直哉がその荷風と玉の井に注目し、『墨東綺譚』から『断腸亭日乗』と『寺じまの記』などを含めて政治学、図像学、地政学などのこれまでにない視点で論じて、荷風と玉の井の秘密を解き明かす。
著者紹介
1971年生まれ。立教大学大学院文学研究科日本文学専攻博士後期課程中退。フェリス女学院中学校・高等学校教諭、志學館大学人間関係学部准教授を経て、現在明治大学政治経済学部・教養デザイン研究科准教授。博士(文学)。専攻は日本近代文学・現代演劇批評。「輻輳化する風景――永井荷風の文体戦略」(「明治大学教養論集」第532号)、「記憶の遠近法――井上ひさし『父と暮せば』を観ること」(「日本近代文学」第94集)など。
目次
第一章 永井荷風の復活―『つゆのあとさき』/第二章 ヒモと金の物語―『ひかげの花』/第三章 『墨東綺譚』の読まれ方/第四章 玉の井への道程―『断腸亭日乗』と『寺じまの記』/第五章 玉の井の政治学/第六章 玉の井の図像学/第七章 玉の井の地政学/第八章 報告文学の季節
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