タイトル 逆格差論、名護市長岸本建男と象設計集団が遺したもの
刊行日 2025年06月30日
著者 菊地史彦
定価 2500円+税
ISBN 978-4-8460-2456-7
Cコード C0036
ページ数 320
判型 四六
製本 並製
内容
忘れられた沖縄の思想は再び蘇るのか?
画期的なまちづくり計画とどこにもない建築を生み出した“山原の奇跡”。
そこから現れた一市長の苦渋の選択と、地域の自立を見つめた昭和・平成・令和の物語。
著者紹介
菊地史彦(きくち・ふみひこ)戦後史研究者・文筆家

1952 年、東京都生まれ。1976 年、慶應義塾大学文学部卒業。同年、筑摩書房入社。
90 年、退社し、編集工学研究所などを経て、99 年、株式会社ケイズワーク設立、代表取締役に就く(~ 2024 年)。
2017 ~ 23 年、東京経済大学コミュニケーション研究科講師。
著書に『「幸せ」の戦後史』、『「若者」の時代』(ともにトランスビュー)、『「象徴」のいる国で』、『沖縄の岸辺へ―五十年の感情史』(ともに作品社)などがある。
目次
はじめに―「格差」と「豊かさ」への視点 
沖縄で起きたこと/格差の再浮上/高度成長と所得格差/楽しい日本へ?/物語の筋書き

第1部 主人公たちの前史
第1章 沖縄から来た青年―揺れる早稲田で岸本建男の印象/沖縄問題への覚醒/ボーイ・ミーツ・ガール/大学院と沖縄闘争/世界を巡って見たもの
第2章 「象」はどこから現れたか―吉阪スクールの流儀
建築は自由である/U研の日々/大島元町復興計画/「発見的方法」の発見/二一世紀の日本列島を描く/象設計集団の誕生

第2部 山原の奇跡
第3章 岸本建男、「象」に遭う―物語の始まり 
一九七一年秋、那覇の街で/「象」が沖縄に上陸した頃/恩納村、幻の基本構想/名護への帰還
第4章 それは「逆格差論」と呼ばれた―第一次名護市総合計画 
「逆格差論」のメッセージ/「反」ではなく「逆」/「自立経済」の戦略と戦術/「逆格差論」の背景/何がどのように語られたか/「山原型」の土地とこころ
第5章 名護の梁山泊―二つの環の交わり 
企画室のアフターファイブ/地域自治研究会の活動/埋め立て地を公園に!/「21世紀の森」と自力建設/もう一つの梁山泊/交流と共感
第6章 沖縄の建築とは何か―公民館と市庁舎 
今帰仁村への旅/草の屋根と赤い柱/全国二段階コンペ/異例ずくめのコンペ要項/四本柱のせめぎ合い

第3部 大渦に巻き込まれたまち
第7章 復帰の後の後―一九八〇年代の変化 
「ぶりでぃ」の昂揚/「名護テーゼ」の影響力/変化は静かに急速に/新市長のまちづくり/「象」の撤退
第8章 「苦渋の決断」―辺野古問題と名護市長 
濁った渦/建男、最初の市長選/受け入れの七条件/彼はどんな人物だったか/北部に賭ける/サミットが見せた夢
第9章 岸本建男とあの時代―たたかいの日々 
市長が背負ったもの/名護はどうやって食うか/翻弄され続けるまち/最後のたたかい/書き残さなかった男

第4部 共にする豊かさへ
第10章 宮代町の物語―進修館は生きている 
不思議な建築/齋藤甲馬のまち/世界のひとつの中心/冒険する小学校/「農のあるまち」へ
第11章 「逆格差論」はどう生きられたか―共同体のリアリティ 
「逆格差論」の核とは/共同体が復権した頃/「あいまいもこ」の由来/岸本建男の存在感/立ち位置をどこに置くか/共同体に死す/辺野古の回想録
第12章 もう一つの豊かさ―名護・宮代・今帰仁の今 
「豊かさ」の呪縛をどう解くか/岸本洋平の選択/父と子、宿命/進修館の包容力/コミュニティを連ねる/「出番」をつくるまちづくり/今帰仁村中央公民館再び

追記 
引用・参照文献 
謝辞 
あとがき 
初出

関連書籍

「二十四の瞳」からのメッセージ

澤宮 優

2400円+税

「西日本新聞」(2023年4月29日付)に書評が掲載されました。

日本の脱獄王

白鳥由栄の生涯 斎藤充功著

2200円+税

「週刊読書人」(2023年4月21日号)に書評が掲載されました。

算数ってなんで勉強するの?

子供の未来を考える小学生の親のための算数バイブル

1800円+税

台湾野球の文化史

日・米・中のはざまで

3,200円+税

ページ上部へ戻る