タイトル | 近代出版史探索Ⅶ |
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刊行日 | 2024年1月30日 |
著者 | 小田光雄 |
定価 | 6000円+税 |
ISBN | 978-4-8460-2349-2 |
Cコード | C0095 |
ページ数 | 660 |
判型 | 四六 |
製本 | 上製 |
シリーズ名 | 近代出版史探索 |
シリーズ番号 | 7 |
内容
「ここに『近代出版史探索Ⅶ』として上梓する本書は、拙ブログ「出版・読書メモランダム」において、二〇二一年十一月から二三年六月にかけて連載した「古本夜話」1201〜1400までを収録したものである。既刊六冊と同じく、単行本化に際し、最小限の加筆修正は施しているが、やはりこれ以上の大部にはできないので、後日譚と新たな出版情報にはふれていない。それでも本書の場合、その成立事情を少しだけ付け加えておくべきだろう。前巻に引き続いて、ゾラの「ルーゴン=マッカール叢書」の翻訳を追跡しているが、それはこの「叢書」がフランス十九世紀後半の近代社会をテーマとしていて、日本の二十世紀を迎えての近代社会とそのまま地続きのように思えるからだ。ゾラの「叢書」は農耕社会、工業社会、消費社会へと至る近代のメカニズムを描き出し、それが必然的に戦争へと行き着く回路を浮かび上がらせている。それらの翻訳は主として日本の社会主義陣営によって試みられ、また併走するように、多くの外国文学も翻訳されていった。そしてこれも多くの「大正時代の文芸叢書」が企画刊行され、またパラレルにプロレタリア文学と左翼出版物やマルクス主義文献も活発に出されていったのである。その一方で、ロシア革命が起き、『エマ・ゴールドマン自伝』によって革命の内実が伝わってくる中で、バラライカを抱えたロシアの盲詩人エロシェンコが大正時代のアイコンのように来日していた。
本書がゾラの「ルーゴン=マッカール叢書」や『エマ・ゴールドマン自伝』に多くを負っているのは、私が両者の翻訳者であることに加え、それらの中に近代の沸騰点を見ているからだ。しかも日本の場合は関東大震災として帝都をバニシングポイントへと追いやってしまう。それに象徴される「典籍の廃墟」を背景として、日本の出版業思界は昭和円本時代を迎え、『現代日本文学全集』『世界文学全集』『世界大思想全集』などが鳴り物入りで企画刊行されていったのである。今回使用した表紙カバー写真は十年以上前に浜松の時代舎で入手した引札だが、近代のどよめきを表象する鉄道、港と船、児童たちの楽隊のざわめき、消費社会への誘いを描いて、アレゴリーに満ちた卓抜な一枚のようにも思える。」
(「あとがき」より)
本書がゾラの「ルーゴン=マッカール叢書」や『エマ・ゴールドマン自伝』に多くを負っているのは、私が両者の翻訳者であることに加え、それらの中に近代の沸騰点を見ているからだ。しかも日本の場合は関東大震災として帝都をバニシングポイントへと追いやってしまう。それに象徴される「典籍の廃墟」を背景として、日本の出版業思界は昭和円本時代を迎え、『現代日本文学全集』『世界文学全集』『世界大思想全集』などが鳴り物入りで企画刊行されていったのである。今回使用した表紙カバー写真は十年以上前に浜松の時代舎で入手した引札だが、近代のどよめきを表象する鉄道、港と船、児童たちの楽隊のざわめき、消費社会への誘いを描いて、アレゴリーに満ちた卓抜な一枚のようにも思える。」
(「あとがき」より)
著者紹介
小田光雄(おだ・みつお)
1951 年、静岡県生まれ。早稲田大学卒業。出版業に携わる。著書に『新版図書館逍遥』(論創社)、『書店の近代』(平凡社)、『〈郊外〉の誕生と死』、『郊外の果てへの旅/混住社会論』、『出版社と書店はいかにして消えていくか』などの出版状況論三部作、インタビュー集「出版人に聞く」シリーズ、『出版状況クロニクル』Ⅰ~Ⅵ、『古本探究』Ⅰ~Ⅲ、『古雑誌探究』、『近代出版史探索』Ⅰ〜Ⅵ、『新版 図書館逍遥』『私たちが図書館について知っている二、三の事柄』(中村文孝と共著)(いずれも論創社)。訳書『エマ・ゴールドマン自伝』(ぱる出版)、エミール・ゾラ「ルーゴン=マッカール叢書」シリーズ(論創社)などがある。『古本屋散策』(論創社)で第29 回Bunkamura ドゥマゴ文学賞受賞。ブログ【出版・読書メモランダム】https://odamitsuo.hatenablog.com/ に「出版状況クロニクル」を連載中。
1951 年、静岡県生まれ。早稲田大学卒業。出版業に携わる。著書に『新版図書館逍遥』(論創社)、『書店の近代』(平凡社)、『〈郊外〉の誕生と死』、『郊外の果てへの旅/混住社会論』、『出版社と書店はいかにして消えていくか』などの出版状況論三部作、インタビュー集「出版人に聞く」シリーズ、『出版状況クロニクル』Ⅰ~Ⅵ、『古本探究』Ⅰ~Ⅲ、『古雑誌探究』、『近代出版史探索』Ⅰ〜Ⅵ、『新版 図書館逍遥』『私たちが図書館について知っている二、三の事柄』(中村文孝と共著)(いずれも論創社)。訳書『エマ・ゴールドマン自伝』(ぱる出版)、エミール・ゾラ「ルーゴン=マッカール叢書」シリーズ(論創社)などがある。『古本屋散策』(論創社)で第29 回Bunkamura ドゥマゴ文学賞受賞。ブログ【出版・読書メモランダム】https://odamitsuo.hatenablog.com/ に「出版状況クロニクル」を連載中。
編集者コメント
小田光雄氏のライフワーク「近代出版史探索」の最新刊。
「出版」という営為を見つめ続ける著者が、驚異の博覧強記により詳密に書き綴った、出版人は座右に置きたい1冊。
「出版」という営為を見つめ続ける著者が、驚異の博覧強記により詳密に書き綴った、出版人は座右に置きたい1冊。
目次
【主なもくじ】
新声社と永井荷風『女優ナナ』/日本評論社『日本プロレタリア傑作選集』と徳永直『能率委員会』/『エマ・ゴールドマン自伝』をめぐって/吉本隆明「〈アジア的〉ということ」とヘーゲル、河野正通訳『歴史哲学緒論』/魯迅とエロシェンコ/『女人芸術』創刊号/アラン『文学論』とシモーヌ・ヴェイユ
【全もくじ】
目次
1201 新潮社「ヱルテル叢書」と秦豊吉訳『若きヱルテルの悲み』 1
1202 奥栄一と奥むめお『婦人問題十六講』 4
1203 「海外文学新選」とスキターレッツ『笞の下を潜つて』 8
1204 笠井鎮夫『近代日本霊異実録』『日本神異見聞伝』 11
1205 加藤敬事『思言敬事』、大久保和郎、八木さわ子 14
1206 新声社と永井荷風『女優ナナ』 18
1207 本間久と『女優ナナ』 21
1208 三水社と西牧保雄訳『女優ナナ』 24
1209 中央出版社「袖珍世界文学叢書」、戸田保雄訳『ゾラ集』、中島孤島訳『生の悦び』 27
1210 ゾラ、渡辺俊夫訳『陥落』と日本書院 31
1211 三上於菟吉訳『貴女の楽園』、天佑社、小林政治 34
1212 国民教育普及会『怖ろしき夢魔・獣人』 37
1213 榎本秋村訳『沐浴』と『新ニノンへのコント』 40
1214 椎名其二訳『野へ』とヱルノス 44
1215 世界文豪代表作全集刊行会と井上勇訳『ナナ』 47
1216 秋庭俊彦訳『肉塊』と三徳社 51
1217 中央公論社『堺利彦全集』とゾラ『子孫繁昌の話』『労働問題』 54
1218 堺利彦訳『哀史梗概』 57
1219 板垣退助監修『自由党史』と五車楼 60
1220 大鐙閣「ゾラ傑作集」と飯田旗軒訳『労働』 63
1221 大鐙閣と木蘇穀訳『血縁』 66
1222 黒岩涙香訳『巌窟王』 69
1223 森田思軒訳『十五少年』と白石実三 72
1224 スペンサーと澤田謙訳『第一原理』 75
1225 コントと石川三四郎訳『実証哲学』 78
1226 春秋社「世界家庭文学名著選」 81
1227 加藤朝鳥『十字軍』、シヨウ『神を探す黒人娘の冒険』、暁書院 84
1228 東方出版「世界文学大綱」 87
1229 暁書院『小麦』と鄰友社『地』 91
1230 春秋社『大思想エンサイクロペヂア』と高畠素之人脈 94
1231 柳田泉編『世界名著解題』 97
1232 春秋社・松柏館の「探偵小説」シリーズ 100
1233 夢野久作『ドグラ・マグラ』 104
1234 『黒死館殺人事件』を戦地へ携えていった青年は誰か 107
1235 小栗虫太郎『白蟻』、ぷろふいる社、熊谷晃一 110
1236 再びの聚英閣と聚芳閣 113
1237 雄文閣、中村吉蔵『明治畸人伝』、日高只一「新時代学芸叢書」 116
1238 面家荘佶、佐藤春夫『李太白』、而立社『歴史物傑作選集』 119
1239 松山敏、愛文閣『レ・ミゼラブル』、巧人社「世界詩人叢書」 122
1240 中央出版社の「仏教・精神修養書」 126
1241 廣文堂『小さい社会学』と新しい高等学校市場 129
1242 「中篇小説叢書」と藤森成吉『旧先生』 132
1243 「感想小品叢書」、里見弴『白酔亭漫記』、大杉栄 135
1244 『代表的名作選集』と里見弴『善心悪心』 138
1245 「新進作家叢書」と志賀直哉『大津順吉』 142
1246 「現代脚本叢書」、花房柳外、『演劇新潮』 145
1247 近代出版社と相馬御風、相馬泰三訳『復活』 148
1248 山内封介『レーニン』、金星堂、近代出版社 151
1249 池田みち子『無縁佛』 154
1250 吉田一穂『海の人形』と金井信生堂 157
1251 新潮社『トルストイ研究』 160
1252 新潮社『蘆花全集』と『順礼紀行』 163
1253 日本評論社『日本プロレタリア傑作選集』と徳永直『能率委員会』 167
1254 徳永直『太陽のない街』 170
1255 戦旗社「日本プロレタリア作家叢書」と小林多喜二『蟹工船』 173
1256 『戦旗』創刊号とメーデー 176
1257 壺井繁治『激流の魚』と『戦旗』経営 180
1258 前田河広一郎『三等船客』、自然社、「新人叢書」 184
1259 山崎斌編『藤村の手紙』と新英社 188
1260 『岡本唐貴自傳的回想画集・岡本唐貴自選画集』 190
1261 『現代日本文学全集』と『プロレタリア文学集』 194
1262 藤沢桓夫『新雪』と南進論 197
1263 昭和プロレタリア文学シリーズとその出版ディケード 200
1264 新日本出版社『プロレタリア詩集』、松永伍一『日本農民詩史』、『農民小学校』 203
1265 下村千秋『ある私娼との経験』と平輪光三『下村千秋 生涯と作品』 206
1266 牧野信一『鬼涙村』 209
1267 天人社「世界犯罪叢書」と松谷与二郎『思想犯罪篇』 212
1268 エリナ・グリン、松本恵子訳『イット』と奢灞都館「アール・デコ文学双書」 215
1269 スタア社『亜米利加作家撰集』 219
1270 葉山嘉樹『海に生くる人々』 222
1271 青野季吉『文学五十年』と葉山嘉樹のデビュー 225
1272 青野季吉とトロツキイ『自己暴露』 228
1273 野田映史編『別役実の風景』、『季刊評論』、烏書房 231
1274 改造社『社会科学大辞典』と社会思想社、荘原達 234
1275 『我等』と大山郁夫 237
1276 改造社と『社会科学』創刊号 240
1277 岩波書店と『思想』創刊号 243
1278 希望閣、野々宮三夫『世界プロレタリア年表』、市川義雄 246
1279 ハウゼンスタイン『芸術と唯物史観』と阪本勝 248
1280 平凡社『世界裸体美術全集』 251
1281 円本としての「囲碁大衆講座」 255
1282 『プロレタリア文化』、波多野一郎、寺島一夫 258
1283 川添利基訳『劇場革命』、中村雅男訳『デッド・エンド』、テアトロ社 260
1284 大森義太郎『唯物弁証法読本』と永田広志『唯物弁証法講話』 263
1285 カウツキー、小池四郎訳『五ヶ年計画立往生』 266
1286 聚英閣「新人会叢書」と若山健治訳『無政府主義論』 270
1287 森戸辰男『クロポトキンの片影』と『大原社会問題研究所雑誌』 273
1288 荻野正博『弔詩なき終焉―インターナショナリスト田口運蔵』 276
1289 『エマ・ゴールドマン自伝』をめぐって 279
1290 エマ・ゴールドマンとシェイクスピア・アンド・カンパニイ書店 283
1291 ボリス・スヴァーリン、ジョルジュ・バタイユ、セルジュ『一革命家の回想』 287
1292 前田河広一郎『セムガ』と田口運蔵 290
1293 シンクレア、前田河広一郎訳『資本』 293
1294 日本評論社「社会科学叢書」、石川三四郎『社会主義運動史』、大鎧閣『改訂増補西洋社会運動史』 296
1295 大鎧閣、北一輝『支那革命外史』、平凡社『世界興亡史論』 301
1296 日本評論社『日本歴史学大系』と清水三男『日本中世の村落』 305
1297 大庭柯公『露国及び露人研究』 308
1298 片山潜と在米日本人社会主義団 311
1299 『近藤栄蔵自伝』と『コムミンテルンの密使』 314
1300 IWW、ビル・ヘイウッド、吉原太郎 317
1301 高橋亀吉の履歴書 320
1302 片山潜『革命的社会主義への道』 324
1303 中富兵衛『永岡鶴蔵伝』 326
1304 盲目のアナキスト小野兼次郎 329
1305 エスペラントとエロシェンコの来日 332
1306 藤井省三『エロシェンコの都市物語』と中里介山『大菩薩峠』 335
1307 和田軌一郎『ロシヤ放浪記』とエロシェンコの帰郷 339
1308 魯迅「故郷」をめぐる読書史 342
1309 『チリコフ選集』と「田舎町」 345
1310 竹内好『魯迅』と赤木健介 348
1311 日本評論社「東洋思想叢書」 351
1312 大東出版社『支那文化史大系』と楊幼炯『支那政治思想史』 354
1313 佐野袈裟美『支那歴史読本』 358
1314 吉本隆明「〈アジア的〉ということ」とヘーゲル、河野正通訳『歴史哲学緒論』 361
1315 魯迅とエロシェンコ 364
1316 『文求堂唐本目録』と中国語教科書出版 366
1317 エロシェンコ、正木ひろし『近きより』、福岡誠一 369
1318 エロシェンコ、アグネス・アレグザンダー、バハイ教 372
1319 エロシェンコと『神近市子自伝』 375
1320 『女人芸術』創刊号 378
1321 望月百合子『大陸に生きる』と大和書店 381
1322 満州と和田伝『大日向村』 384
1323 新潮社「現代仏蘭西文芸叢書」と望月百合訳『タイース』 387
1324 共学社と『ディナミック』 391
1325 エリゼ・ルクリユ『地人論』 393
1326 石本恵吉、大同洋行、エリゼ・ルクリユの蔵書 396
1327 加藤シヅエ『ある女性政治家の半生』とマーガレット・サンガー『性教育は斯く実施せよ』 400
1328 上野英信編『鉱夫』と新人物往来社『近代民衆の記録』 403
1329 中西悟堂と『野鳥』 406
1330 阿部真之助『現代世相読本』 409
1331 雑誌委託制の始まりと婦人誌の全盛 412
1332 陸軍画報社と中山正男『一軍国主義者の直言』 415
1333 下中弥三郎『維新を語る』と維新懇話会 418
1334 満川亀太郎『三国干渉以後』 421
1335 政教社『日本及日本人』 424
1336 鵜崎鷺城『頭を抱へて』と興成館書店 427
1337 三宅雪嶺と『志賀重昂全集』 429
1338 『我観』創刊号 432
1339 紀田順一郎『日本語発掘図鑑』と「日本未曽有関東大震災実況絵葉書」 435
1340 石井敏夫コレクション『絵はがきが語る関東大震災』と写真ジャーナリズムの勃興 438
1341 中野正剛と花田清輝『復興期の精神』 441
1342 『中野秀人全詩集』と「真田幸村論」 444
1343 『太陽』記念増刊『明治名著集』 447
1344 昭和の『太陽』臨時増刊『明治大正の文化』 451
1345 博文館『日露戦争実記』 453
1346 徳富蘇峰、民友社、『国民之友』 456
1347 民友社「現代叢書」と『極東の外交』 459
1348 三つの『家庭雑誌』 462
1349 八木麗子と宮嶋資夫『坑夫』 465
1350 宮嶋資夫と『禅に生くる』 468
1351 笹井末三郎と柏木隆法『千本組始末記』 471
1352 宮嶋資夫『遍歴』と古田大次郎『死の懺悔』 474
1353 宮嶋資夫と大下藤次郎 477
1354 百瀬晋、高木六太郎、『飲料商報』 480
1355 飲食物史料研究会編『趣味の飲食物史料』 482
1356 スタンダール、阿部敬二訳『アンリ・ブリュラールの生涯』、冨山房百科文庫 485
1357 宮嶋資夫とゾラの『金』 488
1358 聚英閣「社会文芸叢書」と大杉栄、伊藤野枝『乞食の名誉』 491
1359 大杉栄・伊藤野枝『二人の革命家』と娘たち 494
1360 佐藤紅霞『洋酒』とダヴィッド社 496
1361 佐藤紅霞『貞操帯秘聞』 500
1362 金園社の実用書と矢野目源一訳『補精学』 502
1363 垣内廉治『図解自動車の知識及操縦』とシエルトン『癌の自己診断と家庭療法』 505
1364 『みづゑ』と特集「水彩画家 大下藤次郎」 508
1365 島崎藤村「水彩画家」と丸山晩霞 511
1366 森鷗外「ながし」 514
1367 横浜美術館『小島烏水 版画コレクション』 517
1368 『長谷川利行展』と「カフェ・パウリスタ」 520
1369 岩田専太郎『挿絵の描き方』と新潮社「入門百科叢書」 523
1370 新潮社「挿絵の豊富な小説類」と角田喜久雄『妖棋伝』 526
1371 陸軍美術協会出版部『宮本三郎 南方従軍画集』 530
1372 『石井鶴三挿絵集』と中里介山 533
1373 介山居士紀行文集『遊於処々』 536
1374 中里介山『日本武術神妙記』と国書刊行会『武術叢書』 539
1375 村松梢風『魔都』 542
1376 芥川龍之介『支那游記』 545
1377 大谷光瑞『見真大師』と上海の大乗社 548
1378 田中貢太郎『貢太郎見聞録』とシナ居酒屋放浪記 551
1379 都新聞出版部と金井紫雲『花と鳥』 554
1380 徳田秋声『縮図』と小山書店 557
1381 国画創作協会同人、大阪時事新報社編『欧州芸術巡礼紀行』 560
1382 田中阿歌麿『趣味と伝説 湖沼巡礼』 562
1383 青木書店、深田久彌編『峠』、有紀書房『峠』 565
1384 笹沢左保『見かえり峠の落日』と木枯し紋次郎 568
1385 高杉一郎、国際文化研究所外国語夏期大学、『国際文化』 572
1386 秋田雨雀『若きソウエート・ロシヤ』 575
1387 森鷗外訳『ジョン・ガブリエル・ボルクマン』、自由劇場、画報社 578
1388 『雨雀自伝』とロシア文学者たち 581
1389 叢文閣「マルクス主義芸術理論叢書」、啓隆閣、マーツア『二〇世紀芸術論』 584
1390 小尾俊人『昨日と明日の間』と高杉一郎 587
1391 片山敏彦とツヴァイク『権力とたたかう良心』 590
1392 片山敏彦『詩心の風光』とロマン・ロラン 593
1393 アラン『文学論』とシモーヌ・ヴェイユ 595
1394 高田博厚『分水嶺』と「パリの日本人たち」 598
1395 高村光太郎訳『回想のゴツホ』 602
1396 小坂狷二『エスペラント文学』と日本エスペラント学会 605
1397 『文芸』編集者小川五郎と宮本百合子「杉垣」 608
1398 中野重治『空想家とシナリオ』 611
1399 『戦艦ポチョムキン』と映画評論社『定本世界映画芸術発達史』 614
1400 『雨雀自伝』、『新思潮』、潮文閣 618
あとがき 621
人名索引 642
新声社と永井荷風『女優ナナ』/日本評論社『日本プロレタリア傑作選集』と徳永直『能率委員会』/『エマ・ゴールドマン自伝』をめぐって/吉本隆明「〈アジア的〉ということ」とヘーゲル、河野正通訳『歴史哲学緒論』/魯迅とエロシェンコ/『女人芸術』創刊号/アラン『文学論』とシモーヌ・ヴェイユ
【全もくじ】
目次
1201 新潮社「ヱルテル叢書」と秦豊吉訳『若きヱルテルの悲み』 1
1202 奥栄一と奥むめお『婦人問題十六講』 4
1203 「海外文学新選」とスキターレッツ『笞の下を潜つて』 8
1204 笠井鎮夫『近代日本霊異実録』『日本神異見聞伝』 11
1205 加藤敬事『思言敬事』、大久保和郎、八木さわ子 14
1206 新声社と永井荷風『女優ナナ』 18
1207 本間久と『女優ナナ』 21
1208 三水社と西牧保雄訳『女優ナナ』 24
1209 中央出版社「袖珍世界文学叢書」、戸田保雄訳『ゾラ集』、中島孤島訳『生の悦び』 27
1210 ゾラ、渡辺俊夫訳『陥落』と日本書院 31
1211 三上於菟吉訳『貴女の楽園』、天佑社、小林政治 34
1212 国民教育普及会『怖ろしき夢魔・獣人』 37
1213 榎本秋村訳『沐浴』と『新ニノンへのコント』 40
1214 椎名其二訳『野へ』とヱルノス 44
1215 世界文豪代表作全集刊行会と井上勇訳『ナナ』 47
1216 秋庭俊彦訳『肉塊』と三徳社 51
1217 中央公論社『堺利彦全集』とゾラ『子孫繁昌の話』『労働問題』 54
1218 堺利彦訳『哀史梗概』 57
1219 板垣退助監修『自由党史』と五車楼 60
1220 大鐙閣「ゾラ傑作集」と飯田旗軒訳『労働』 63
1221 大鐙閣と木蘇穀訳『血縁』 66
1222 黒岩涙香訳『巌窟王』 69
1223 森田思軒訳『十五少年』と白石実三 72
1224 スペンサーと澤田謙訳『第一原理』 75
1225 コントと石川三四郎訳『実証哲学』 78
1226 春秋社「世界家庭文学名著選」 81
1227 加藤朝鳥『十字軍』、シヨウ『神を探す黒人娘の冒険』、暁書院 84
1228 東方出版「世界文学大綱」 87
1229 暁書院『小麦』と鄰友社『地』 91
1230 春秋社『大思想エンサイクロペヂア』と高畠素之人脈 94
1231 柳田泉編『世界名著解題』 97
1232 春秋社・松柏館の「探偵小説」シリーズ 100
1233 夢野久作『ドグラ・マグラ』 104
1234 『黒死館殺人事件』を戦地へ携えていった青年は誰か 107
1235 小栗虫太郎『白蟻』、ぷろふいる社、熊谷晃一 110
1236 再びの聚英閣と聚芳閣 113
1237 雄文閣、中村吉蔵『明治畸人伝』、日高只一「新時代学芸叢書」 116
1238 面家荘佶、佐藤春夫『李太白』、而立社『歴史物傑作選集』 119
1239 松山敏、愛文閣『レ・ミゼラブル』、巧人社「世界詩人叢書」 122
1240 中央出版社の「仏教・精神修養書」 126
1241 廣文堂『小さい社会学』と新しい高等学校市場 129
1242 「中篇小説叢書」と藤森成吉『旧先生』 132
1243 「感想小品叢書」、里見弴『白酔亭漫記』、大杉栄 135
1244 『代表的名作選集』と里見弴『善心悪心』 138
1245 「新進作家叢書」と志賀直哉『大津順吉』 142
1246 「現代脚本叢書」、花房柳外、『演劇新潮』 145
1247 近代出版社と相馬御風、相馬泰三訳『復活』 148
1248 山内封介『レーニン』、金星堂、近代出版社 151
1249 池田みち子『無縁佛』 154
1250 吉田一穂『海の人形』と金井信生堂 157
1251 新潮社『トルストイ研究』 160
1252 新潮社『蘆花全集』と『順礼紀行』 163
1253 日本評論社『日本プロレタリア傑作選集』と徳永直『能率委員会』 167
1254 徳永直『太陽のない街』 170
1255 戦旗社「日本プロレタリア作家叢書」と小林多喜二『蟹工船』 173
1256 『戦旗』創刊号とメーデー 176
1257 壺井繁治『激流の魚』と『戦旗』経営 180
1258 前田河広一郎『三等船客』、自然社、「新人叢書」 184
1259 山崎斌編『藤村の手紙』と新英社 188
1260 『岡本唐貴自傳的回想画集・岡本唐貴自選画集』 190
1261 『現代日本文学全集』と『プロレタリア文学集』 194
1262 藤沢桓夫『新雪』と南進論 197
1263 昭和プロレタリア文学シリーズとその出版ディケード 200
1264 新日本出版社『プロレタリア詩集』、松永伍一『日本農民詩史』、『農民小学校』 203
1265 下村千秋『ある私娼との経験』と平輪光三『下村千秋 生涯と作品』 206
1266 牧野信一『鬼涙村』 209
1267 天人社「世界犯罪叢書」と松谷与二郎『思想犯罪篇』 212
1268 エリナ・グリン、松本恵子訳『イット』と奢灞都館「アール・デコ文学双書」 215
1269 スタア社『亜米利加作家撰集』 219
1270 葉山嘉樹『海に生くる人々』 222
1271 青野季吉『文学五十年』と葉山嘉樹のデビュー 225
1272 青野季吉とトロツキイ『自己暴露』 228
1273 野田映史編『別役実の風景』、『季刊評論』、烏書房 231
1274 改造社『社会科学大辞典』と社会思想社、荘原達 234
1275 『我等』と大山郁夫 237
1276 改造社と『社会科学』創刊号 240
1277 岩波書店と『思想』創刊号 243
1278 希望閣、野々宮三夫『世界プロレタリア年表』、市川義雄 246
1279 ハウゼンスタイン『芸術と唯物史観』と阪本勝 248
1280 平凡社『世界裸体美術全集』 251
1281 円本としての「囲碁大衆講座」 255
1282 『プロレタリア文化』、波多野一郎、寺島一夫 258
1283 川添利基訳『劇場革命』、中村雅男訳『デッド・エンド』、テアトロ社 260
1284 大森義太郎『唯物弁証法読本』と永田広志『唯物弁証法講話』 263
1285 カウツキー、小池四郎訳『五ヶ年計画立往生』 266
1286 聚英閣「新人会叢書」と若山健治訳『無政府主義論』 270
1287 森戸辰男『クロポトキンの片影』と『大原社会問題研究所雑誌』 273
1288 荻野正博『弔詩なき終焉―インターナショナリスト田口運蔵』 276
1289 『エマ・ゴールドマン自伝』をめぐって 279
1290 エマ・ゴールドマンとシェイクスピア・アンド・カンパニイ書店 283
1291 ボリス・スヴァーリン、ジョルジュ・バタイユ、セルジュ『一革命家の回想』 287
1292 前田河広一郎『セムガ』と田口運蔵 290
1293 シンクレア、前田河広一郎訳『資本』 293
1294 日本評論社「社会科学叢書」、石川三四郎『社会主義運動史』、大鎧閣『改訂増補西洋社会運動史』 296
1295 大鎧閣、北一輝『支那革命外史』、平凡社『世界興亡史論』 301
1296 日本評論社『日本歴史学大系』と清水三男『日本中世の村落』 305
1297 大庭柯公『露国及び露人研究』 308
1298 片山潜と在米日本人社会主義団 311
1299 『近藤栄蔵自伝』と『コムミンテルンの密使』 314
1300 IWW、ビル・ヘイウッド、吉原太郎 317
1301 高橋亀吉の履歴書 320
1302 片山潜『革命的社会主義への道』 324
1303 中富兵衛『永岡鶴蔵伝』 326
1304 盲目のアナキスト小野兼次郎 329
1305 エスペラントとエロシェンコの来日 332
1306 藤井省三『エロシェンコの都市物語』と中里介山『大菩薩峠』 335
1307 和田軌一郎『ロシヤ放浪記』とエロシェンコの帰郷 339
1308 魯迅「故郷」をめぐる読書史 342
1309 『チリコフ選集』と「田舎町」 345
1310 竹内好『魯迅』と赤木健介 348
1311 日本評論社「東洋思想叢書」 351
1312 大東出版社『支那文化史大系』と楊幼炯『支那政治思想史』 354
1313 佐野袈裟美『支那歴史読本』 358
1314 吉本隆明「〈アジア的〉ということ」とヘーゲル、河野正通訳『歴史哲学緒論』 361
1315 魯迅とエロシェンコ 364
1316 『文求堂唐本目録』と中国語教科書出版 366
1317 エロシェンコ、正木ひろし『近きより』、福岡誠一 369
1318 エロシェンコ、アグネス・アレグザンダー、バハイ教 372
1319 エロシェンコと『神近市子自伝』 375
1320 『女人芸術』創刊号 378
1321 望月百合子『大陸に生きる』と大和書店 381
1322 満州と和田伝『大日向村』 384
1323 新潮社「現代仏蘭西文芸叢書」と望月百合訳『タイース』 387
1324 共学社と『ディナミック』 391
1325 エリゼ・ルクリユ『地人論』 393
1326 石本恵吉、大同洋行、エリゼ・ルクリユの蔵書 396
1327 加藤シヅエ『ある女性政治家の半生』とマーガレット・サンガー『性教育は斯く実施せよ』 400
1328 上野英信編『鉱夫』と新人物往来社『近代民衆の記録』 403
1329 中西悟堂と『野鳥』 406
1330 阿部真之助『現代世相読本』 409
1331 雑誌委託制の始まりと婦人誌の全盛 412
1332 陸軍画報社と中山正男『一軍国主義者の直言』 415
1333 下中弥三郎『維新を語る』と維新懇話会 418
1334 満川亀太郎『三国干渉以後』 421
1335 政教社『日本及日本人』 424
1336 鵜崎鷺城『頭を抱へて』と興成館書店 427
1337 三宅雪嶺と『志賀重昂全集』 429
1338 『我観』創刊号 432
1339 紀田順一郎『日本語発掘図鑑』と「日本未曽有関東大震災実況絵葉書」 435
1340 石井敏夫コレクション『絵はがきが語る関東大震災』と写真ジャーナリズムの勃興 438
1341 中野正剛と花田清輝『復興期の精神』 441
1342 『中野秀人全詩集』と「真田幸村論」 444
1343 『太陽』記念増刊『明治名著集』 447
1344 昭和の『太陽』臨時増刊『明治大正の文化』 451
1345 博文館『日露戦争実記』 453
1346 徳富蘇峰、民友社、『国民之友』 456
1347 民友社「現代叢書」と『極東の外交』 459
1348 三つの『家庭雑誌』 462
1349 八木麗子と宮嶋資夫『坑夫』 465
1350 宮嶋資夫と『禅に生くる』 468
1351 笹井末三郎と柏木隆法『千本組始末記』 471
1352 宮嶋資夫『遍歴』と古田大次郎『死の懺悔』 474
1353 宮嶋資夫と大下藤次郎 477
1354 百瀬晋、高木六太郎、『飲料商報』 480
1355 飲食物史料研究会編『趣味の飲食物史料』 482
1356 スタンダール、阿部敬二訳『アンリ・ブリュラールの生涯』、冨山房百科文庫 485
1357 宮嶋資夫とゾラの『金』 488
1358 聚英閣「社会文芸叢書」と大杉栄、伊藤野枝『乞食の名誉』 491
1359 大杉栄・伊藤野枝『二人の革命家』と娘たち 494
1360 佐藤紅霞『洋酒』とダヴィッド社 496
1361 佐藤紅霞『貞操帯秘聞』 500
1362 金園社の実用書と矢野目源一訳『補精学』 502
1363 垣内廉治『図解自動車の知識及操縦』とシエルトン『癌の自己診断と家庭療法』 505
1364 『みづゑ』と特集「水彩画家 大下藤次郎」 508
1365 島崎藤村「水彩画家」と丸山晩霞 511
1366 森鷗外「ながし」 514
1367 横浜美術館『小島烏水 版画コレクション』 517
1368 『長谷川利行展』と「カフェ・パウリスタ」 520
1369 岩田専太郎『挿絵の描き方』と新潮社「入門百科叢書」 523
1370 新潮社「挿絵の豊富な小説類」と角田喜久雄『妖棋伝』 526
1371 陸軍美術協会出版部『宮本三郎 南方従軍画集』 530
1372 『石井鶴三挿絵集』と中里介山 533
1373 介山居士紀行文集『遊於処々』 536
1374 中里介山『日本武術神妙記』と国書刊行会『武術叢書』 539
1375 村松梢風『魔都』 542
1376 芥川龍之介『支那游記』 545
1377 大谷光瑞『見真大師』と上海の大乗社 548
1378 田中貢太郎『貢太郎見聞録』とシナ居酒屋放浪記 551
1379 都新聞出版部と金井紫雲『花と鳥』 554
1380 徳田秋声『縮図』と小山書店 557
1381 国画創作協会同人、大阪時事新報社編『欧州芸術巡礼紀行』 560
1382 田中阿歌麿『趣味と伝説 湖沼巡礼』 562
1383 青木書店、深田久彌編『峠』、有紀書房『峠』 565
1384 笹沢左保『見かえり峠の落日』と木枯し紋次郎 568
1385 高杉一郎、国際文化研究所外国語夏期大学、『国際文化』 572
1386 秋田雨雀『若きソウエート・ロシヤ』 575
1387 森鷗外訳『ジョン・ガブリエル・ボルクマン』、自由劇場、画報社 578
1388 『雨雀自伝』とロシア文学者たち 581
1389 叢文閣「マルクス主義芸術理論叢書」、啓隆閣、マーツア『二〇世紀芸術論』 584
1390 小尾俊人『昨日と明日の間』と高杉一郎 587
1391 片山敏彦とツヴァイク『権力とたたかう良心』 590
1392 片山敏彦『詩心の風光』とロマン・ロラン 593
1393 アラン『文学論』とシモーヌ・ヴェイユ 595
1394 高田博厚『分水嶺』と「パリの日本人たち」 598
1395 高村光太郎訳『回想のゴツホ』 602
1396 小坂狷二『エスペラント文学』と日本エスペラント学会 605
1397 『文芸』編集者小川五郎と宮本百合子「杉垣」 608
1398 中野重治『空想家とシナリオ』 611
1399 『戦艦ポチョムキン』と映画評論社『定本世界映画芸術発達史』 614
1400 『雨雀自伝』、『新思潮』、潮文閣 618
あとがき 621
人名索引 642
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