タイトル USAを盗んだ男ートランプ、そして腐敗を極める輩たち
刊行日 2026年1月下旬
著者 エマニュエル・パストリッチ
定価 予価2200円+税
ISBN 978-4-8460-2550-2 
Cコード C0031
判型 四六
製本 並製
内容
 本書は、ドナルド・トランプの登場によって、独善的、専制的な政治手法によって邪魔者を排除することが日常化し、アメリカの政治が制度崩壊を起こしている現状を鋭く突いている。トランプは、政策や経済を理解できず、行政は他人に任せている単なる「パフォーマー」でしかないことをいくつもの事例を挙げながら指摘している。しかも、トランプの主な役割は、誰が真に国政に関する決定を下しているのか、国民には理解できないようにすることであり、彼の関心は、息子たちと共同経営する企業の利潤に集中しているとする。
アメリカの政治システムはすでに完全に崩壊していて、トランプ政権の実際の主体は、特定の億万長者や企業であり、トランプは彼らの命令に従う存在でしかない。トランプの主な目的は、超富裕層の一部に政治権力を大幅に移し、民主的支配や知的自由を抹殺することだという著者の主張には、現下のアメリカの政治状況を見れば、正鵠を射ていると言わざるを得ない。
一章ではトランプの政治的関わり方を、サーファー、プロレスラー、ディールメーカー、十字軍の四つで説明している。二章はトランプの私邸であるマール・ア・ラーゴに関してである。彼の支持者である超富裕層と忠実な信奉者が集まり、アメリカの敵対的買収計画が練られた「城」となっている。
トランプ政権の政策を動かしている「億万長者四人組」の実態は日本ではほとんど知られていないだろう。
第三章はトランプとマルコ・ルビオの奇妙な関係とその役割について触れ、日本ではあまり知られていないルビオの侮りがたい力量について記されている。
トランプ政権下では、政府の機能が民間企業に委託されており、軍と諜報機関が民間企業と結びついて急速に統合されていることは、これまた日本ではあまり知られていない。
第四章では、ピーター・ティール、ミリアム・アデルソン、ティモシー・メロン、イーロン・マスクのトランプを陰で操る超富豪者四人の役割について記されている。彼らは世界をAIによって操る社会に変えようとしているのだ。
最後に著者は、日本国民、知識人、政治家に対し、アメリカへの郷愁を捨て、アメリカの制度的衰退という現実を直視すべきだと提言している。日本は、アメリカがまだ信頼できる同盟国であるという危険な虚構にとらわれているのではないか。アメリカは日本へ軍事費の大幅増額、さらにはアメリカ製兵器の大量購入を求めており、国際関係では、中国かアメリカかの二者択一を迫っている。
今こそ冷静にアメリカの現状をよく見つめ直す時であり、日本はアメリカの視点からみずからを捉えることをやめ、「主体性」を取り戻し、科学的評価に基づいて日本の未来を判断しなければならないとしている。
著者紹介
Emanuel Pastreich(エマニュエル・パストリッチ)
アメリカ1964年米国テネシー州ナッシュビル生まれ。高校からカリフォルニアへ、1983年サンフランシスコのローウェル高校を卒業、 イェール大学に入学後、中国文学を専攻。1985年には、交換留学生として1年間、国立台湾大学に留学。 イェール大学卒業後、東京大学に留学し、1992年に大学院総合文化研究科比較文学 比較文化専攻修士課程修了。 修士論文は「江戸後期の文人・田能村竹田と「無用」の詩画」。同年、アメリカへ帰国し、ハーバード大学東アジア言語 文明学科に編入学、日韓中小説研究の論文を起草。1998年よりイリノイ大学で東アジア言語文学科の助教授、教授。 ジョージワシントン大学、韓国の慶熙大学でも勤務。韓国滞在中に書いた『韓国人だけが知らない韓国』がベストセラーとなり、 朴槿恵大統領の愛読書として知られる。英語、日本語、中国語で数多くの本を出版。2007年には民間シンクタンク「アジア・インスティチュート」を創立し、理事長を務めている。
 2020年の米大統領選挙に無所属で立候補を宣言し、2024年の選挙でも緑の党から立候補を試みるなど、アメリカ政治体制の変革を訴えている。2023年に活動拠点を東京に移し、日米韓を拠点に活動を続けている。
目次
目次:
はじめに
第一部 ドナルド・トランプの闇
第一章 トランプとは誰か?
第二章 トランプの城「マール・ア・ラーゴ」
第三章 奇妙なカップル――ドナルド・トランプとマルコ・ルビオ
第四章 億万長者――ピーター・ティール、ミリアム・アデルソン、ティモシー・メロン、イーロン・マスク
第五章 反動革命――三つの流れ

第二部 日本、韓国――トランプのアメリカから見えるもの
第一章 アメリカの政治混乱がもたらす、日本の安全保障と指揮系統の危機
第二章 石破氏のトランプへの控えめな抵抗が日本の国際的な役割を変革する
第三章 パランティア、ピーター・ティールとアレックス・カルプ、および防衛・諜報機関
第四章 黄禍論に傾くアメリカ

第五章 銀行家、将軍と政治家の三国志  変節が加速化しているアメリカの黄昏
おわりに 
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