タイトル アンリ・ベルクソンの神秘主義
刊行日 2022年3月5日
著者 平賀 裕貴
定価 2800円+税
ISBN 978-4-8460-2139-9
Cコード 0010
ページ数 320
判型 四六
製本 上製
内容
ベルクソンの三つの主題〈事実の複数線〉〈創話機能〉〈機械〉を通して、「神秘主義」と哲学の関係について、新たな視点で優れた思索を展開。これにより、気鋭のベルクソン学者が哲学研究に新たな道を切り開く。
【概要】
本書は、フランス哲学の研究者で、ベルクソンの『笑い』の共訳者でもある平賀裕貴が、ベルクソンと神秘主義について論じたものだ。ノーベル文学賞を受賞している、哲学者アンリ・ベルクソン(1859~1941年)は『時間と自由』『物質と記憶』『創造的進化』『道徳と宗教の二源泉』などの著作で知られる。意識と身体を論じた『物質と記憶』『創造的進化』では、「エラン・ヴィタール(生の跳躍)」が広まり、『道徳と宗教の二源泉』の〈創話機能〉は、ベルクソンに大きな影響を受けたジル・ドゥルーズが論じたことでも有名だ。だが、ベルクソンと「神秘主義」というと、疑問符を浮かべる人も多いかもしれない。実は『道徳と宗教の二源泉』で、ベルクソンは神秘主義を論じている。そして、彼のさまざまな哲学的概念や思考そのものに、神秘主義が直接影響を与えているのだ。その生涯の後半は、常に神秘主義と対峙して思索を重ねていった。ヴァレリー、バタイユ、サルトル、ヴェイユなどの多くの思想家も神秘主義を論じており、20世紀フランス哲学の一つのトポスを形成している。ベルクソンの哲学と神秘主義は、そのトポスの基盤の一つと言える。平賀は、ベルクソンの三つの主題〈事実の複数線〉〈創話機能〉〈機械〉について論じる。第一章で、ベルクソンがどのように神秘主義に接近したかを明らかにする。第二章では、〈事実の複数線〉と神秘経験との関連から、神秘家の経験をどのように「実証的」なものとして論じたのかを追う。第三章は、〈創話機能〉を神秘家の経験を伝播させる手段として分析する。第四章では、神秘主義と〈機械〉の関係について考察する。こうして著者は、神秘主義がベルクソン哲学の核であることを明らかにしていく。神秘主義というと、幻想文学、魔術や錬金術、さらにゴスロリなどと結びつけて考えられがちだが、本書によって、そんな目で見られてきた「神秘主義」と哲学の関係について、新たな視点、新たな思索を開くことになる。これは、今後の哲学研究にも、新たな道を切り開く一歩となるであろう。

著者紹介
平賀 裕貴(ひらが・ひろたか)1983年生まれ。専門はフランス文学・哲学。エラスムス・ムンドゥス・プログラム(ユーロフィロソフィー)によりトゥールーズ第二大学大学院に留学。同大学大学院修士課程修了。立教大学大学院博士課程修了。博士(文学)。現在、立教大学兼任講師。共訳書にアンリ・ベルクソン『笑い』(ちくま学芸文庫、2016年)がある。
目次
【目次】
序 論 
本 論
第一章 神秘主義というエニグマ
 第一節 二十世紀前半期フランスにおける神秘主義研究の諸相
 第二節 ベルクソンにおける神秘主義との遭遇 
第二章 〈事実の複数線〉と神秘家
 第一節 哲学的方法としての〈事実の複数線〉
 第二節 記憶としての〈生き延び〉とその伝播
第三章 〈創話機能〉と神秘家
 第一節 〈創話機能〉、あるいは語りの力
 第二節 〈創話機能〉のイメージとシンボル
第四章 〈機械〉と神秘家
 第一節 「暗夜」にうごめく〈機械〉
 第二節 戦争する〈機械〉と魂の代補
結 論
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