タイトル 言語の復権のために
サブタイトル ソシュール、イェルムスレウ、ザメンホフ
刊行日 2020年2月13日
著者 立川健二
定価 2400円+税
ISBN 978-4-8460-1691-3
Cコード 1010
ページ数 296
判型 四六
製本 上製
内容
ソシュールを超えて!

20年の沈黙を破り言語学者が語る、主体、愛、差別——。


丸山圭三郎に師事した言語学者、思想家が改めて「言葉」という視点から現代社会をとらえる。私たちの表現、考え、思想、哲学はすべて言語によって成り立っている。本質的な意味での言語とは何かを、言語思想、そしてユダヤ思想までを含めて論じる。

立川健二は、丸山圭三郎に師事した言語学者、思想家。ソシュールから構造主義、ポストモダンなどの思想家、哲学者に触れるなかで、独自の言語思想を打ち出した。

特にソシュールの読みは、修士論文が『力の思想家ソシュール』として本になるなど、注目を集めた。ソシュールの功績は「一般言語学」という形で言語学を確立し、かつ「シニフィアン」、「シニフィエ」、「ラング」、「パロール」などの概念により、現代思想に大きな影響を与えた点が指摘される。立川はその思想的な流行とは別に、一般言語学の道筋を追うなかで、ローマン・ヤコブソン、そしてルイ・イエルムスレウの言語思想にたどりつく。

本書はその立川の言語思想を浮き彫りにするものであり、かつ現代思想に現在も影響を与えている「言語学」という視点から、現在、そして現代社会をとらえようとするものである。

私たちの表現、考え、思想、哲学はすべて言語によって成り立っている。コミュニケーションも言語なくしては成立しない。その本質的な意味での言語とは何かを知ることの意義は大きい。再び言語、そして言語学が復権するいま、本書を世に問うものである。
著者紹介
立川 健二(たつかわ・けんじ)

 1958(昭和33)年、埼玉県浦和市(さいたま市)生まれ。
 1982年、東京外国語大学フランス語学科卒業。1989年、東京大学大学院人文科学研究科(仏語仏文学専攻)博士課程中退。その間、サンケイスカラシップ奨学生としてパリ第・新ソルボンヌ大学、フランス政府給費留学生としてパリ第・ナンテール大学大学院(言語科学専攻)博士課程に留学。

 大阪市立大学文学部助手、東北学院大学教養学部助教授、文教大学国際学部教授を経て2000年から在野の探究者。本来の専攻は言語思想史、記号論。

 著書『《力》の思想家ソシュール』(水声社)『現代言語論』(共著、新曜社)『誘惑論』(新曜社)『愛の言語学』(夏目書房)『ポストナショナリズムの精神』(現代書館)など。

 訳書:ショシャナ・フェルマン『語る身体のスキャンダル』(勁草書房)フランソワーズ・ガデ『ソシュール言語学入門』(新曜社)など。
目次
Ⅰ 世界は言葉のなかに
 世界は言葉のなかに――言語とその主体 

Ⅱ 丸山圭三郎からソシュールへ
 文学と饒舌――丸山圭三郎の死をめぐって 
 ラング、ランガージュ、エクリチュール――丸山圭三郎と〈言葉〉という多面体 
 言語学、言語哲学、文学――ソシュールからソシュールへの道のり 
 ソシュール『一般言語学講義』――〈言語学〉とその外部 
 言語のなかへ――丸山言語哲学を導きとして 

Ⅲ ソシュールからイェルムスレウへ
 言語学と文学の出会い、あるいは記号論の誕生 
 〈聴く立場〉の言語学――ロマーン・ヤーコブソン 
 形式としての言語――ソシュールからイェルムスレウへ 

Ⅳ イェルムスレウ、極北の言語学
 イェルムスレウ言語学のために 
 言語のなかの主体 
 格とは何か 
 言語と言語の差異はどこにあるのか 
 グロセマティック、《全体言語学》として 
 言語類型論序説――言語の多様性、そしてその彼方へ 
 デカルトからイェルムスレウへ――言語への信頼感の回復 

Ⅴ 愛と差別の言語学に向けて
 固有名詞への愛を生きる――恋愛の記号論 
 愛と差異に生きるわたし――区別・差別・対立・差異をめぐって 
 愛の言語思想家、ザメンホフ――言語差別を超えて 

【Column】ソシュール、バンヴェニスト、メルロ=ポンティ、ラカン、イェルムスレウ、メイエ、マルティネ、ロラン・バルト

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