タイトル 鷗外を考える
サブタイトル 幸徳事件と文豪の実像
刊行日 2023年2月16日
著者 木村勲
定価 3000円+税
ISBN 978-4-8460-2219-8
Cコード 0095
ページ数 304
判型 四六
製本 上製
内容
ヤヌスとしての鷗外
高雅に潜む冷笑、傍観主義を標榜…。元老山県に密着し漱石と確執、幸徳事件へ執心――
没後百年、近代の陰影を刻む文学の深奥に迫る。

わたしは「大逆事件」ではなく幸徳事件と使う。宮武外骨がいみじくも喝破したように、それを使った瞬間に権力の術中に陥るプロパガンダ表現だからだ。言い換えではない。最初から不当に言い換えられていた。この点、鷗外は数点の事件に直接関連する作品を含め、この語を使わなかった。事件経過に沈黙を通したということもあるが、考証学者としての筋目があったとわたしは考える。(本書「まえがき」」より)
著者紹介
木村勲(きむら・いさお)
近代文芸研究者。1943年、静岡県沼津市生出身。一橋大学社会学部卒、同大学院社会学研究科修士課程修了。朝日新聞学芸部記者を経て神戸松蔭女子学院大学教授を務めた。著書に『鉄幹と文壇照魔鏡事件――山川登美子及び「明星」異史』(国書刊行会)、『「坂の上の雲」の幻影――“天才”秋山は存在しなかった』(論創社)、『日本海海戦とメディア――秋山真之神話批判』(講談社選書メチエ)、『風景ゆめうつつ――人々の都市物語』(文芸社)。共著に『100人の20世紀』(朝日文庫)、編著に『中世の光景』(朝日選書)、『古代史を語る』(同=新聞連載時の原題は「古代漂流」)など。
目次
まえがき

第一章 公判の高官傍聴席にいた
 第一節 「軍服姿で」と書いた新聞記者 
 第二節 愚童の弟、棺の蓋を金槌で砕く 
 第三節 出歯亀事件とヰタ・セクスアリス 
 第四節 西園寺の宴、首座の林太郎 

第二章 コッホ来日歓迎会の屈辱
 第一節 林太郎、ミニコミ作家で復活 
 第二節 『魔睡』で生じたモデル問題 
 第三節 医師「磯貝きよし」と『妄想』の諦念 
 第四節 「鷗外」宣言、花子とロダン 

第三章 背信の旋律と新聞との葛藤
 第一節 『懇親会』『木精』と朝日新聞 
 第二節 『鼠坂』に描かれた従軍記者 
 第三節 プルムウラとルソー『懺悔録』 

第四章 幸徳ら事件での微妙な位置
 第一節 「文芸院」めぐり漱石と確執 
 第二節 山県への近侍と『食堂』 
 第三節 露文学と『沈黙の塔』及び漱石 

第五章 山県の民衆恐怖と邸宅三昧
 第一節 反乱奇兵隊始末のトラウマ 
 第二節 築邸への執念と文化人交流 
 第三節 「閔妃暗殺」から事件像組立て 

第六章 なぜ鷗外は事件に注目したか
 第一節 「一週間講義」と平出弁論 
 第二節 平出が救った「明星」の危機 
 第三節 「我等は全く間違つて居た」 
 第四節 事件資料集めと浦上門徒のこと 
 第五節 怪奇『刺絡』と平出の衰弱 

あとがき
参考文献
人名索引
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