タイトル | 『LISTEN リッスン』の彼方に |
---|---|
刊行日 | 2023年5月19日 |
著者 | 雫境 編著 |
定価 | 2000円+税 |
ISBN | 978-4-8460-2275-4 |
Cコード | C0074 |
ページ数 | 272 |
判型 | 四六 |
製本 | 並製 |
内容
2016年、話題になった『LISTEN リッスン』は無音の映画である。耳の聞こえないろう者たちが、それぞれの「音楽」を奏でるアート・ドキュメンタリー・フィルムだ。手や指、顔、足、全身をつかって「音楽」を生み出していく。演技経験のないろう者から演劇経験者、舞踏家まで、さまざまな人が身体表現で生み出す世界は、まさに「舞踊詩」のような「音楽」とでもいうべきものだ。ともにろう者である映画監督牧原依里と舞踏家雫境(ダケイ)が、共同監督として、この作品を生み出した。
『LISTEN リッスン』の上映会では耳栓が配られる。映像に音はないが、周囲の環境音も聞こえない状態、ろう者に近い状態で見てほしいという試みである。それによって、多くの人がこれまでにない体験をした。そして、感動した人たちが、映画にコメントを寄せている。吉増剛造、ヴィヴィアン佐藤、田口ランディ、大林宣彦、小野寺修二、齋藤徹、佐藤慶子、木村晴美、丸山正樹、松﨑丈、吉田優貴、齋藤陽道、佐々木敦、七里圭、薗部真志、喰始、近藤良平、藤岡みなみ、森公美子、森山開次、綾戸智恵、荒木経惟、伊藤亜紗など。
本書はこの映画『LISTEN リッスン』を書籍の形で示そうというものだ。しかし、会話やナレーションのある映画のような台本はない。そのために、撮影・演出にあたって監督たちが出演者に示したもの、そのコミュニケーションの過程、さらに、その過程で牧原・雫境監督が考えたことなどが述べられる。そして、この特異な映画づくり、そして映画が表現するものを言葉で表現しようという、書籍としても困難な試みである。
『LISTEN リッスン』の上映会では耳栓が配られる。映像に音はないが、周囲の環境音も聞こえない状態、ろう者に近い状態で見てほしいという試みである。それによって、多くの人がこれまでにない体験をした。そして、感動した人たちが、映画にコメントを寄せている。吉増剛造、ヴィヴィアン佐藤、田口ランディ、大林宣彦、小野寺修二、齋藤徹、佐藤慶子、木村晴美、丸山正樹、松﨑丈、吉田優貴、齋藤陽道、佐々木敦、七里圭、薗部真志、喰始、近藤良平、藤岡みなみ、森公美子、森山開次、綾戸智恵、荒木経惟、伊藤亜紗など。
本書はこの映画『LISTEN リッスン』を書籍の形で示そうというものだ。しかし、会話やナレーションのある映画のような台本はない。そのために、撮影・演出にあたって監督たちが出演者に示したもの、そのコミュニケーションの過程、さらに、その過程で牧原・雫境監督が考えたことなどが述べられる。そして、この特異な映画づくり、そして映画が表現するものを言葉で表現しようという、書籍としても困難な試みである。
著者紹介
雫境(だけい)
ろう(聾)の舞踏家。1997年、故・鶴山欣也の誘いを受け、舞踏を始める。2000年にユニットグループ「雫」を旗揚げ、国内外で公演とワークショップを行っている。2013年アニエス・トゥルブレ監督の映画『わたしの名前は…』に出演。2016年牧原依里と共同監督として映画「LISTEN リッスン」を製作。他に元藤燁子や小野寺修二の演出作品にも出演。2019年舞踏をベースにした身体表現を模索するためにユニットグループ「濃淡(NOUTAN)」を結成。
ろう(聾)の舞踏家。1997年、故・鶴山欣也の誘いを受け、舞踏を始める。2000年にユニットグループ「雫」を旗揚げ、国内外で公演とワークショップを行っている。2013年アニエス・トゥルブレ監督の映画『わたしの名前は…』に出演。2016年牧原依里と共同監督として映画「LISTEN リッスン」を製作。他に元藤燁子や小野寺修二の演出作品にも出演。2019年舞踏をベースにした身体表現を模索するためにユニットグループ「濃淡(NOUTAN)」を結成。
目次
はじめに 雫境
第一章 共振への道程
一、牧原依里編
二、雫境編
第二章 ふたりの化学反応から 雫境
第三章 撮影と編集のあいだで 雫境
第四章 二〇一六年『LISTEN リッスン』が上映されて
一、映画『LISTEN リッスン』の上映へ 雫境
二、映画パンフに掲載された文章から
(一)「ろう者の音楽」の世界へ 木村 晴美
(二)響存 松﨑 丈
(三)音・響(音は聴くものか?) 齋藤 徹
(四)振動を超えて内なる宇宙に広がる音楽 松原 正樹
三、アフタートーク・対談ハイライト集、二〇一六年
(一) 横尾友美
(二) 佐沢静枝
(三) 松原正樹
(四) ヴィヴィアン佐藤
(五) 吉田優貴
(六) アツキヨ
(七) 吉増剛造
(八) ササマユウコ
(九) 大橋ひろえ
(一〇)田口ランディ
(一一)丸山正樹
(一二)ウォン・ウィンツァン
(一三)米内山明宏・佐藤慶子
(一四)門秀彦
(一五)佐藤譲二
(一六)小野寺修二・横尾友美
第五章 『LISTEN リッスン』から五年後に
一、響存から五年後 松﨑 丈
二、『LISTEN リッスン』から五年後に ヴィヴィアン佐藤
三、こころ躍りからだ躍る 吉田 優貴
四、ふれる ふるえる ふれられる ほんま なほ
五、問う。 ササマ ユウコ
六、『LISTEN リッスン』から五年後に 小野寺 修二
第六章 手話・定義・文化 雫境
第七章 ろう文化のなかのオンガク
一、ろう文化のなかのオンガク 雫境
二、「目で生きる人」のオンガクワークショップ 菊川佳代・砂川巴奈歌
第八章 論攷編
一、ろう者の感覚と音楽 松﨑丈
二、「音のない音楽」の論理——翻訳としての『LISTEN リッスン』 土田まどか
おわりに 痕跡から未来へ想いをめぐらして 雫境
第一章 共振への道程
一、牧原依里編
二、雫境編
第二章 ふたりの化学反応から 雫境
第三章 撮影と編集のあいだで 雫境
第四章 二〇一六年『LISTEN リッスン』が上映されて
一、映画『LISTEN リッスン』の上映へ 雫境
二、映画パンフに掲載された文章から
(一)「ろう者の音楽」の世界へ 木村 晴美
(二)響存 松﨑 丈
(三)音・響(音は聴くものか?) 齋藤 徹
(四)振動を超えて内なる宇宙に広がる音楽 松原 正樹
三、アフタートーク・対談ハイライト集、二〇一六年
(一) 横尾友美
(二) 佐沢静枝
(三) 松原正樹
(四) ヴィヴィアン佐藤
(五) 吉田優貴
(六) アツキヨ
(七) 吉増剛造
(八) ササマユウコ
(九) 大橋ひろえ
(一〇)田口ランディ
(一一)丸山正樹
(一二)ウォン・ウィンツァン
(一三)米内山明宏・佐藤慶子
(一四)門秀彦
(一五)佐藤譲二
(一六)小野寺修二・横尾友美
第五章 『LISTEN リッスン』から五年後に
一、響存から五年後 松﨑 丈
二、『LISTEN リッスン』から五年後に ヴィヴィアン佐藤
三、こころ躍りからだ躍る 吉田 優貴
四、ふれる ふるえる ふれられる ほんま なほ
五、問う。 ササマ ユウコ
六、『LISTEN リッスン』から五年後に 小野寺 修二
第六章 手話・定義・文化 雫境
第七章 ろう文化のなかのオンガク
一、ろう文化のなかのオンガク 雫境
二、「目で生きる人」のオンガクワークショップ 菊川佳代・砂川巴奈歌
第八章 論攷編
一、ろう者の感覚と音楽 松﨑丈
二、「音のない音楽」の論理——翻訳としての『LISTEN リッスン』 土田まどか
おわりに 痕跡から未来へ想いをめぐらして 雫境
関連書籍