タイトル もしも誰かを殺すなら
刊行日 2023年12月4日
著者 パトリック・レイン 著/赤星美樹 訳
定価 2400円+税
ISBN 978-4-8460-2295-2
Cコード 0097
ページ数 240
判型 四六
製本 上製
シリーズ名 論創海外ミステリ
シリーズ番号 307
内容
大富豪ジェームズ・フルトン射殺事件の犯人として新聞記者のロバート・リンデンが逮捕された。全米の注目を集めた裁判でリンデンには死刑判決が下され、事件発生の翌年、死刑は執行された。
その裁判に関わった陪審員たちは「すばらしい評決を下した」と自意識過剰なインテリ意識から年に一度の集会を開いていたが、刑死したリンデン記者の妻エルサ・リンデンも集会のたびに様々な手段を用いて姿を現し、無実を訴える夫を死に追いやった人々に無言の非難を示すという不気味な一幕も必ずあった。
五回目の集会は雪深い冬の山荘で開かれ、盲目の犯罪心理学者パトリック・レインが講演者として招かれた。夕食の席上では、「もしも誰かを殺すとしたら、どういう手段を使うか」が話題になり、撲殺、毒殺、射殺、刺殺、絞殺など、集まった人々は自分の理想とする殺害方法を語り出し、どこか不穏な空気が漂い始める。この年はエルサだけでなく、リンデンの友人だったアーネスト・カルザース弁護士も山荘を訪れていたのだが、カルザース弁護士は恐るべき事実を一堂に突きつけた。
フルトン殺害事件の唯一の目撃者だった従弟ウィリアム・ハルジーが二日前に病死したが、彼は事件を裁いた陪審員宛の遺言状を書いており、そこには『フルトンを殺害したのは自分だった』と告白する内容が記されていたというのだ。さらに『自分の遺産は陪審員たちに均等に分け与える』と内容が続いていた。無実の男を殺したという事実を知った当時の陪審員一同が絶望や憤怒の気持ちに駆られる中、山荘内で陪審員たちが一人また一人と夕食の席上で披露した殺人方法で殺されていく。
電話線は切断され、車のタイヤは傷つけられ、警察に通報する手段も逃げ出す手段もない中、犠牲者の数は七人目を数える。
果たして犯人は夫の復讐を目論むエルサか、ハルジーの遺産を狙う陪審員か、友人の無念を晴らそうとするカルザース弁護士なのか、それとも未知の殺人鬼なのか。
海外ミステリ通のM・K氏が海外ミステリ原書レビュー「ある中毒患者の告白」で高評価をつけた知られざる傑作、原書刊行から78年を経た初の邦訳!
著者紹介
パトリック・レイン
 アメリア・レイノルズ・ロングの別名義。1904年、アメリカ、ペンシルバニア州生まれ。1930年代にパルプ雑誌へ短編SFを発表し、やがて長編ミステリの筆も執るようになる。精力的な作家活動を展開するも、52年発表の“The Round Table Murders”を最後にミステリの執筆を終え、以後は作詩と教科書編纂に専念。1978年、死去。

〔訳者略歴〕
赤星美樹(あかぼし・みき)
 明治大学文学部文学科卒。一般教養書を中心に翻訳協力多数。訳書に『誰もがポオを読んでいた』、『〈羽根ペン〉倶楽部の奇妙な事件』、『ウィンストン・フラッグの幽霊』、共訳書に『葬儀屋の次の仕事』、『眺海の館』(いずれも論創社)がある。
目次
もしも誰かを殺すなら

訳者あとがき
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